（2023年3月7日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり）

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、先ごろ訪問中のカナダでトルドー首相と会談し、共同報道発表を行った。その一部を抜粋要約して以下に記す。

■気候、生物多様性、グリーン経済

・両首脳は、気候変動に強く、ネイチャーポジティブで、循環型のネットゼロ経済に向けた作業を加速し、大西洋の両側での労働者に好ましい雇用を創出することを約束した。また、貿易、投資、政策改革が持続可能な開発とグリーン経済の主要な推進力であることを認識した上で、「EU・カナダ包括的経済貿易協定（Comprehensive Economic and Trade Agreement：CETA）」と「戦略的パートナーシップ協定（Strategic Partnership Agreement：SPA）」が果たす重要な役割を強調した。
・両首脳は、気候、環境、エネルギーへの関与をさらに深め、今後数十年間にわたって気候中立で資源効率の高い循環型経済を成長させるべく、EUとカナダの間の「グリーン連合（Green Alliance）」の確立に向けて取り組む。
・両首脳は、二国間および多国間のフォーラムを通じて鉄鋼やアルミニウムなどの低炭素製造を推進する上で、カナダとEUがどのように協力を改善できるかを検討することとした。

■信頼性、妥当性、持続可能性のあるエネルギーと原材料

・両首脳は、ネットゼロ経済およびデジタル経済の構築に不可欠な重要鉱物の供給と関連するバリューチェーンの安定を確保することへのコミットメントを再確認した。EUとカナダは、「原材料に関するカナダ・EU戦略的パートナーシップ（Canada-EU Strategic Partnership on Raw Materials）」などを通じて、この分野で強力な協力関係を築いている。この協力は、最高の環境的・社会的基準を支援し、研究・イノベーションのパートナーシップを構築しながら、新たな貿易と投資の機会を提供することに役立っている。
・カナダとEUは、クリーン技術やその他の先進的な製造・リサイクル技術からなる製品ライフサイクル全体について、より強力な戦略的連携を構築する。
・クリーン水素が経済の脱炭素化と世界のエネルギー需要を満たす上で、重要な役割を果たすことを認識し、両首脳は、両国間で信頼できる水素サプライチェーンの開発の基盤を築き、水素の規格と認証に関する共通のアプローチを展開するために協力することに合意した。
・両首脳はまた、2022年3月に発表した「エネルギー移行とLNGに関するカナダ・EU作業部会（Canada-EU Working Group on Energy Transition and LNG）」を通じた協力の継続を約束した。この作業部会は、水素や重要鉱物などカナダがEUに供給できる主要な資源やエネルギーのほか、LNGなどの資源の世界的な供給に関して、持続可能な中期的解決策を策定している。
・両首脳は、大西洋の両側におけるウランと核燃料サービスの供給を評価し確保するべく協力することに合意した。

■経済、技術、研究

・両首脳は、持続可能な経済成長を促進する上で、デジタル経済と新興技術が果たす役割を強調した。さらなるデジタル協力へのコミットメントの一環として、両首脳は、人工知能、次世代ネットワークに関する研究・イノベーションのほか、国際的な接続性とサイバーセキュリティに関するより広範な協力（に焦点を当てるが、これに限定されない）「EU・カナダ・デジタルパートナーシップ（EU-Canada Digital Partnership）」を追求することを約束した。
・両首脳はまた、科学とイノベーションの最先端を前進させるべく、研究者、研究機関、産業界、政府の間の強力かつ持続的な協力の必要性にも言及した。両首脳は、カナダが世界最大の科学・技術・イノベーション共同プログラムであるHorizon Europeの準参加国になるための交渉が早期に終結することに期待を示した。

[DW編集局]