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国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語(報告書本体は英語)
公開機関:
フランス・ユニベルシテ
元記事公開日:
2023/04/06
抄訳記事公開日:
2023/05/02

CHUは「再構築が必要」 大学連が報告書

France Universités : Relancer la recherche biomédicale en France

本文:

 フランスの大学など116機関で作る連合組織「フランス・ユニベルシテ」(フランス大学連合:FU)は4月6日、国内の生命医療研究に関する報告書を発表し、各地の医療機関を大学の医系学部に参画させて実践的教育や臨床研究などの拠点形成を促す「大学病院センター」(CHU)について「再構築が必要だ」などと提唱した。

 国立医学アカデミーなどが生命医療分野について2021年に公表した2冊の報告書をベースに、FUが独自の調査・検討を加えた成果として発表された。ベースとなったアカデミーの報告書は、フランスの同分野の研究は近年、量的にも質的にも下降しており、その主な原因として「研究への投資の割合が他分野に比べて低いこと」「関係組織が細分化していること」を挙げていた。

 今回FUが出した報告書は、こうした問題意識を踏まえつつ、背景の一つとして、1950年代末から続くシステムであるCHUに着目。「フランスで行われる生命医療研究の6割超は大学関係やCHUから生み出されている」としつつも、▽組織構成が複雑であることがCHUの課題整理を難しくしている可能性がある、▽CHUは研究成果のインパクトの観点ではパフォーマンスが悪く、大学や国立保健医学研究所(INSERM)などより論文の引用頻度も低い――といった問題点を指摘した。

 さらにCHUのほかにも「フランスでは領域横断的な研究よりも伝統的な領域の研究に偏りがちで、このままでは新興領域の研究で他国に後れを取るリスクがある」、「国全体の研究開発投資のうち少なくとも30%は生命医療分野に向けるべきだ」などの指摘を加えている。

[DW編集局]