[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2023/03/30
抄訳記事公開日:
2023/05/08

EUが、再生可能エネルギー展開を加速するべく、より強力な法制化で合意

European Green Deal: EU agrees stronger legislation to accelerate the rollout of renewable energy

本文:

(2023年3月30日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

EUの再生可能エネルギー指令の強化について、欧州議会と理事会の間でこのほど暫定合意に達した。この合意により、2030年のEUにおける再生可能エネルギー比率に関する拘束力のある目標が、現在の32%から最低42.5%に引き上げられ、現在のシェアをほぼ倍増させることになる。交渉当事者は、EUが2030年までに再生可能エネルギー比率45%を目指すことでも合意した。

発電、産業、建物、輸送における再生可能エネルギーの大規模拡大と加速は、時間の経過とともにエネルギー価格を引き下げ、EUの輸入化石燃料への依存度を低下させることになる。

新法の下では、認可手続きがより簡単かつ迅速になり、再生可能エネルギーは、高いレベルの環境保護を維持しながら、最優先の公益として認識されることになる。再生可能エネルギーの潜在力が高く、環境リスクが低い地域では、各加盟国は再生可能エネルギー加速の特定地域を設定し、認可手続きをさらに短く簡単なものとすることができる。暫定合意ではまた、再生可能エネルギーに関する国境を越えた協力も強化することになる。

上記合意には、経済のさまざまな分野での再生可能エネルギーの導入を支援するための目標と措置が含まれている。改訂される指令では、EU の建築法を補完し、各加盟国の取り組みの指針とするべく、2030年までに建築物のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を49%にするという目標を設定する。

主要なエネルギー消費分野である産業界が、初めて再生可能エネルギー指令に含まれる。合意では、2030年までに産業界における総水素消費量の42%を再生可能水素とするという拘束力のある目標と併せて、再生可能エネルギー使用量の年間増加率1.6%という指示的目標を設定している。合意はまた、輸送における再生可能エネルギーの使用に関する規制枠組みを強化(温室効果ガス強度の14.5%削減または最終エネルギー消費における再生可能エネルギー比率29%)し、先進バイオ燃料と非生物起源の再生可能燃料を合わせて5.5%(非生物起源の再生可能燃料は最低1%)とするサブ目標も設定した。これらの目標は、再生可能水素の展開に関するEU目標を支援するものである。

合意には、電化と廃熱利用によるエネルギーシステムの統合を支援する条項のほか、消費者情報改善のための原産地保証制度の強化も含まれている。

合意は、欧州グリーンディールの気候変動と生物多様性の目標強化に従って、バイオエネルギーの持続可能性基準を強化するものである。将来的に、これらの基準は、現行指令の下での20MW以上ではなく、より小規模な設備 (7.5MW以上) に適用されるようになる。合意には、森林バイオマスが、生物多様性や炭素貯蔵の観点で重要な特定地域から調達されないよう定める規定もある。さらに、合意された規則では、木質バイオマスが経済的・環境的付加価値の高い順で利用(いわゆるカスケード利用)されるべきと規定している。

[DW編集局]