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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2023/04/06
- 抄訳記事公開日:
- 2023/05/12
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中国での首脳会談後のフォン・デア・ライエン欧州委員長の談話
Remarks by President von der Leyen at the press conference at the end of her visit to China
- 本文:
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(2023年4月6日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)
本日、ここ北京で行われた包括的なハイレベル協議について報告したい。私は、マクロン仏大統領との共同会談および二国間会談の両方で、習国家主席と会った。李首相とも会談を行った。
まずEUと中国の関係から始める。それは広範で複雑な関係である。双方にとって、この関係は両者の繁栄と安全保障に大きな影響を与える。中国にとっては、EUが第1の輸出先であり、EUにおいて中国は第3の輸出先である。具体的な数値を1つ挙げるとすれば、2022年には1日あたり23億ユーロ強の貿易が行われていることを意味する。同時に、両者の貿易関係はますます不均衡になっている。過去10年間で、EUの貿易赤字は3倍以上となり、昨年は約4,000億ユーロに達した。この流れは持続可能ではなく、根本的な構造的問題に対処する必要があるため、それについて話し合いを持った。EU企業は、一部の分野における不公正な慣行、つまり中国市場へのアクセスを妨げる不公正な慣行に懸念を抱いていることを伝えた。たとえば、EUの農産品は、大きなハードルに直面している。あるいは医療機器は、差別的な「バイチャイナ」政策によって市場から排除されようとしている。これらの分野はすべて、欧州の卓越性が認められている領域である。たとえば、技術移転を求める圧力の増大、過度のデータ要求、不十分な知的財産権行使など、中国があらゆる分野で課す要件が増え続けることでこうした分野での問題は悪化している。これらによって、中国に輸出している、あるいは中国で生産しているEU企業は大きな不利益を被っている。また、これは、欧州単一市場(Single Market)で事業を行うすべての企業が享受している公平な競争条件とは対照的であるという事実についても説明した。したがって、このような背景に対して、EUは、我々の利益を守り、公平な競争条件を確保するため、ますます警戒感を強めている。
こうした両者の関係における不均衡に加えて、EUは依存関係についても警戒を強めている。これらの依存関係の中には、機密性の高い新興技術の輸出のように、我々にとって重大なリスクを引き起こすものがある。こうした状況の中で、これが中国からの分離(decouple)を求める声につながることは誰もが知るところである。これが実行可能または望ましい戦略であるとは思えない。我々はリスク回避(de-risking)に取り組む必要があると信じている。これは、特定のリスクに焦点を当てることを意味し、商品やサービスの大部分がリスクのない取引であることは認識している。リスクが異なれば、それに対処するために必要な手段も異なる。我々は、貿易および投資関係の多様化を通じて、依存関係のリスクに対処する。軍事目的に使用される可能性のある機密技術が漏洩するリスクは、輸出管理または投資審査を通じて対処する必要がある。しかし、どのような手段を選択するにせよ、対話を通じて現在の問題を解決したいと考えている。したがって、基本的には外交を通じてリスクを回避する。これが、私がハイレベルの経済貿易対話の再開を求めた理由であり、我々はそれに合意した。ハイレベル経済貿易対話だけでなく、ハイレベル・デジタル対話もこれと併せて開催される。これら2つの対話は、すべての異なるファイルで進展させ、具体的な成果を生み出すため、できるだけ早期に開催するべきである。
次に、地政学的環境に話を移す。今回の中国訪問は、特にウクライナに対するロシアの侵略戦争のために、困難で不安定な状況の中で行われている。これに関する中国の立場は、EUにとって極めて重要である。国連安全保障理事会のメンバーとして、中国には大きな責任があり、その役割を果たし、国連憲章の基礎の1つであるウクライナの主権と領土保全を尊重する公正な)和を促進することを期待している。私は今回の会談で、ゼレンスキー大統領の和平計画を断固として支持することを強調した。私はまた、中国が提唱したいくつかの原則、特に、核の安全とリスク低減の問題、そして核の脅威や核兵器の使用を容認できないという中国の声明を歓迎した。我々はまた、中国が直接的または間接的にロシアにいかなる軍事装備も提供しないよう期待している。侵略者への武器供与が国際法違反であることは誰もが知るところである。しかも、それは我々両者の関係を著しく損なうことになる。
人権についても取り上げた。私は、中国における人権状況の悪化について深い懸念を表明した。新疆ウイグル自治区の状況は特に懸念される。これらの問題について、引き続き議論していくことが重要である。したがって、EU・中国人権対話(EU-China Human Rights Dialogue)がすでに再開されたことを歓迎する。
ロシアのウクライナ侵攻以外にも、地球規模の問題に関して結集して協力できる分野がいくつかある。我々の経済規模を考えると、我々は地球規模の問題を解決するという共通の責任を負っている。たとえば、気候と環境の保護が何よりもまず重要である。「昆明・モントリオール生物多様性協定」を実現する上で中国が果たした積極的な役割を特に歓迎する。中国はまた、公海条約(High Seas Treaty)の合意に至る原動力となっており、これは特に好ましいことである。気候変動対策については、ドバイで開催されるCOP28に向けて、中国が具体的かつ野心的な約束をすることを期待している。そして、カナダとの共同イニシアチブに関連して、このCOP28を共同で準備するよう中国に呼びかけた。もちろん、中国が「グローバル・メタン・プレッジ(Global Methane Pledge:GMP)」に参加するのであれば、大歓迎である。重要なプレーヤーである中国が必要である。
[DW編集局]