[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2023/04/18
抄訳記事公開日:
2023/05/18

欧州半導体法に関する政治的合意

Commission welcomes political agreement on the European Chips Act

本文:

(2023年4月18日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

2022年2月8日に欧州委員会が提案した「欧州半導体法(European Chips Act)」に関して、本日、予算を含め欧州議会とEU加盟国の間で政治的合意が成立した。

最近の半導体不足は、欧州がEU域外の限られたサプライヤーに依存していることを浮き彫りにしている。特に、チップの製造は台湾と東南アジア、設計は米国に依存している。この危機的な依存関係に対処するため、欧州半導体法は、EU域内での製造活動を強化し、欧州の設計エコシステムを刺激し、バリューチェーン全体で規模拡大とイノベーションを支援するものである。欧州半導体法を通じて、EUは、2030年には半導体世界市場シェアを現在の2倍の20%にするという目標の達成を目指す。

この法律の第1の柱である「欧州のための半導体イニシアチブ(Chips for Europe Initiative)」は、研究室から製造への知識移転を促進し、研究・イノベーションと産業活動の間のギャップを埋め、欧州企業による革新的技術の工業化を促進することにより、欧州の技術的リーダーシップを強化する。

本イニシアチブは、「重要技術デジタル共同事業体(『半導体共同事業体(Chips Joint Undertaking)』に改称)」の戦略的方向転換を通じて、EU、加盟国、民間部門からの投資を統合する。このイニシアチブは62億ユーロの公的資金によって支えられ、そのうち33億ユーロが、2027年までの間、EU予算から拠出されることが、本日合意された。

この支援は、半導体技術向けにすでに予定されている26億ユーロの公的資金に加えて実施される。62億ユーロは、イノベーションと生産を加速するための設計プラットフォームの開発やパイロット・ラインの設置などの活動を支援する。このイニシアチブは、欧州各地に設置されるコンピタンスセンターの設立も支援する。これらのセンターは、技術的専門知識や実験へのアクセスを提供し、特に中小企業の設計能力や開発能力の向上に役立つ。さらに、新興企業や中小企業を支援するため、InvestEUのもとで設立された「半導体基金(Chips Fund)」や半導体専用の株式投資ファシリティを通じて、資金へのアクセスを確保する。

第2の柱は、チップメーカーとそのサプライヤーの製造施設に対する官民投資の奨励である。投資を呼び込み、半導体製造における生産能力を強化することで、供給の安全性を確保する枠組みを構築する。この目的のために、EUでは初めてとなる、「Integrated Production Facilities」および「Open EU Foundries」の枠組みを設け、EUの利益となる供給の安定とレジリエントなエコシステムに貢献する。

第3の柱として、欧州半導体法は、加盟国と欧州委員会との間の連携を強化し、半導体の供給監視、需要の見積もり、不足の予測、そして必要に応じて危機対応行動を発令するための、加盟国と欧州委員会の間の調整メカニズムを確立する。

[DW編集局]