[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2023/04/27
抄訳記事公開日:
2023/05/22

CNRS、海洋の持続可能性に向けた科学界の調整への「重要な一歩」

Une « étape clé » franchie à Bruxelles pour les oceans

本文:

(2023年4月27日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は以下のとおり)

CNRSは4月18、19の両日、「海洋持続可能性国際パネル(International Panel for Ocean Sustainability;IPOS)」の存在感を高めるため、世界中の科学機関を集める異例のシンポジウムを開催した。

欧州連合(EU)本部で開かれたこのシンポジウムは、IPOSに対する学術パートナーの支援を得、意思決定機関と市民社会の代表を動員することを目標としている。

CNRS科学顧問で海洋生物学者のフランソワーズ・ガイル氏は、「時間が迫っている」と警鐘を鳴らし、IPOSが2025年にフランスとコスタリカが共催する国連海洋会議の前に最初の勧告を発表するべきだとしている。同氏によれば、IPOSはすべての利害関係者を対象に海洋全体の持続可能性に焦点を置いており、「気候変動に関する政府間パネル (IPCC)」または「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学―政策プラットフォーム(IPBES)」にはできない、海洋関係の科学界の調整をより円滑に行うことを目指している。このことから海洋管理に対する政治的支援は、気候や生物多様性と同様に地球の持続可能性にとって不可欠だとしている。IPOS は既存の機関やパネルにはできない役割を有し、多くの利害関係者が関わる海洋の持続可能性の問題に対応するために、科学界をより適切に組織化するものである。

世界中から100人近くが集まり、主要国の科学機関だけでなく、国内外の団体の代表者等多数のステークホルダーがこのシンポジウムに参加し、科学と海洋に関する政策との強いつながりの必要性と、国際的な海洋ガバナンスにおいてIPOSを位置付けていく必要性を表明した。

IPOSのガバナンスを構築する上でこの2年間は重要であり、国際会議によるIPOSの正式な発表、多数の研究機関による呼びかけなどを受け、アントワーヌ・プチCNRS理事長の立ち会いの下、COP27でIPOSを支援する連合が立ち上げられた。

2023年初めには、海洋の持続可能性と持続可能な開発目標(SDG)14に焦点を当てた海洋評価が開始され、5月末に出される最終報告書は、ステークホルダーとの協議の基礎となり、IPOSに情報とビジョンを提供するものとなる。これらの結果が、持続可能な海洋とSDG14達成に向けた具体的な行動をサポートし、科学と政策のインターフェースを改善することになる。

このシンポジウムは、IPOSのガバナンスと運営形態の全体像が明らかにし、科学機関の取り組みに関する共同宣言に署名して終了した。IPOSに特化した新しいイベントは、6月開催のユネスコ政府間海洋委員会 (IOC) の次回総会中に開催される予定である。

[DW編集局]