[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
大統領府、首相府、高等教育・研究省
元記事公開日:
2023/05/16
抄訳記事公開日:
2023/05/26

医療研究、新たに16拠点始動へ

France 2030 : 16 nouveaux programmes d’excellence soutenus pour accélérer la recherche et l’innovation en santé

本文:

 フランスのマクロン大統領は16日、医療分野の研究・イノベーションを進めるためのプログラムとして、「大学病院拠点」(IHU)12か所と「ビオクラスター」4か所の活動を新たにスタートさせると発表した。同分野の大型投資計画「医療イノベーション2030」(IS 2030)の一環として行われる。

 「IS 2030」は、2022~26年の政府の5か年投融資計画「フランス2030」の”医療版”と位置づけられる。「フランス2030」本体の発表3か月半前の21年6月、「投資総額75億ユーロ(うち生物医学研究に17億ユーロ)」「医療イノベーション庁設置」などの概要が初めてアナウンスされ、それ以降、公募プロジェクトの採択状況などが随時明らかにされてきた。

 今回の発表のうち、まずIHUは、既存の大学病院を拠点に、地域の医療機関、研究機関、関係企業などが集まってエコシステムを形成し、イノベーションを推進させることを目的としたプログラムである。2010年代に整備が進められていたが、今回発表されたのは12か所(うち2か所は追って正式に採択予定)である。

 またビオクラスターは、既存の医科系大学などを拠点に、特に基礎医学と臨床医学の垣根を取り払うことに重きを置くプログラムで、米国の「ボストン・バイオクラスター」をモデルとしている。昨年12月に首都圏の「パリ=サクレーがんセンター」が先行的に採択されていたが、今回新たに4か所が加えられた。

 「IS 2030」の内容発表としては、今回は、22年10月の「医療イノベーション庁」設置発表に並んで規模の大きなものだったといえる。また政府の投資計画の具体的内容は、通常は首相や担当省庁の大臣などが発表するが、今回はより上位のマクロン大統領が発表した点でも意義が大きいといえる。

 大統領府の発表(https://www.elysee.fr/emmanuel-macron/2023/05/16/renforcer-notre-recherche-en-sante)によると、マクロン氏は同日、フランスの生物医学研究は「縦割りの論理に直面しており、今後はより結束させるべきだ」と演説。「そのためには資金支援の区分をできるだけなくし、要する時間もできるだけ短くし、現場の研究者の責任に委ねていくべきだ」などと述べた。さらに自身の公式ツイッターにも「医療研究により多くの資金、より多くの自由を」などと投稿した。

 今回の採択結果は次の通り。

【IHU】(追って正式採択予定の2か所も含め、計12か所)

 ▽「女性のがん研究拠点」(腫瘍学、パリ特別市)▽「InovAnd」(脳科学、パリ特別市)▽「PRISM」(腫瘍学、首都圏ヴァル=ド=マルヌ県)▽「Prometheus」(感染症学、首都圏オ=ド=セーヌ県)▽「THEMA 2」(腫瘍学、パリ特別市)▽「Everest」(肝臓学、南部リヨン)、▽VBHI(脳科学、南西部ボルドー)▽「RespiERA」(呼吸器学、南部ニース)▽「re-Connect」(脳科学、パリ特別市)▽「Infiny」(胃腸学、東部ナンシー)=追って正式採択予定▽「HealtAge」(老年学、南部トゥールーズ)=同

【ビオクラスター】(計4か所)

 ▽「Braim&Mind」(脳神経科学、パリ特別市)▽「Genother」(遺伝学、首都圏エソンヌ県)▽「BCF21」(感染症学、南部リヨン)▽「マルセイユ免疫学クラスター」(免疫学、南部マルセイユ) [これらとは別に▽「パリ=サクレーがんセンター」(腫瘍学、首都圏エソンヌ県)が22年12月に採択済み]

(参考)2022年12月23日付公開記事

[DW編集局]