（2023年5月10日付、英国研究・イノベーション機構（UKRI）の標記発表の概要は以下のとおり）

英国最大の政府および慈善団体の研究助成機関から、ヘルス・データ・リサーチUK（HDR UK）に対して7,000万ポンドを超える助成が実施された。

HDR UKに関する最初の科学的レビューを主導したのは医学研究会議（MRC）である。この助成は、UKRIの戦略テーマである、「より良い健康、老化、福祉の確保」に沿ったものである。健康データへの信頼できるアクセスを加速し、治療法を改善し、より良い医療を提供し、命を救うというHDR UKの中核的な取り組みを支援する。これは、がん、糖尿病、心血管疾患などの世界最大の健康危機への取り組みに役立ち、研究へのアプローチを加速・再構築する可能性がある。

英国は、NHSと6,500万人を超える人口のゆりかごから墓場までの記録のおかげで、医療データの可能性を実現できる特異な立場にある。しかし、研究者がこのデータに安全にアクセスするには、多くの場合、時間がかかり、断片的なプロセスとなるため、医療を改善する潜在能力が十分に発揮されていない。

HDR UKは、健康データ科学のための国立の研究機構である。NHSや大学、慈善団体、産業界、規制当局などのパートナーと協力して英国の健康データを統合し、人々の生活を向上させる発見をすることを目指している。HDR UKは、5年前に5,270万ポンドの資金で設立された。国際的なパネルによる綿密な審査を経て、2023～2028年の助成は5年間で7,230ポンドに増額された。

HDR UKは今後5年間の助成により、健康データ科学の速度、規模、質を向上させ、新たな発見を可能にする計画を実行することになる。計画には次の事項が含まれる：

・英国全土の共同研究プログラムにより、さまざまな領域で大規模なデータセットの活用を促進する。（がんや心臓病から呼吸器疾患、医薬品の使用から健康に対する社会的・環境的影響の調査に至るまで）
・多様な組織と協力して能力を高め、真のチーム・サイエンスを支援することで、現在のデータの断片化と標準化の欠如に対処する。
・HDR UKの活動全体を通じて、患者や一般市民の継続的関与を図ることで、信頼性があり安全で確実なシステムによって研究用データへのアクセスを可能とし、公共の利益を生み出す。

39の組織の1,500人を超える研究者がこの研究機関のメンバーである。HDR UKは、500以上の組織が参加する共同研究を可能にした。

[DW編集局]