[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2023/05/24
抄訳記事公開日:
2023/06/20

持続可能な開発目標(SDGs)に関するEUの進捗報告書

Eurostat report shows EU's progress on Sustainable Development Goals

本文:

(2023年5月24日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

EUの統計局であるユーロスタット(Eurostat)はこのほど、EUにおけるSDGsの進捗状況を統計的にまとめた、「EUにおける持続可能な開発 – EUの文脈におけるSDGsに向けた進捗状況に関する報告書 2023年版」を発表した。

報告書は、「欧州グリーンディール」、「第8次環境行動計画」、「欧州社会権の柱行動計画」などの主要政策領域における欧州委員会の優先事項に沿って、過去5年間にEUがほとんどの目標に向けて前進してきたことを示している。データは、EUが多くの社会経済目標に向かって力強く前進してきたことを示す一方、加盟国が欧州グリーンディールの野心的な目標を実行する中で、環境分野ではさらなる前進が期待されている。

報告書は、過去5年間でEUが3つのSDGsに向けて大きな前進を遂げ、他のほとんどの目標については中程度の前進であったことを示している。主な調査結果は次のとおりである:

・EUは、「ディーセント・ワーク(働き甲斐のある人間らしい仕事)およ「経済・労働市場(SDG 8)」において最も前進した。2022年、EUの雇用率は74.6%という過去最高値に達し、EUの長期失業率は過去最低値に低下した。
・貧困と社会的排除の削減(SDG 1)とジェンダー平等の改善(SDG 5)の目標に向けても大きな進展が見られた。住宅費に過剰な負担を負っている人の割合は2015年以降減少しており、女性の時給は男性の時給に追いつきつつある。
・不平等の削減(SDG 10)、質の高い教育の確保(SDG 4)、EU域内の平和と個人の安全の促進、司法へのアクセスと制度への信頼の向上(SDG 16)に向けた取り組みも良好であった。富裕層と貧困層の所得格差は縮小し、EUは高等教育で人口の45%を占めるという目標達成に向けて順調に進んでいる。過去数年間で、欧州の近隣地域での殺人や暴行による死亡、犯罪、暴力、破壊行為の発生が大幅に減少し、EUでの生活はより安全になった。さらに、EUは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる後退があったにもかかわらず、健康と福祉(SDG 3)、およびイノベーションとインフラ(SDG 9)の目標に向けて前向きな前進を遂げている。
・責任のある消費と生産(SDG 12)、持続可能な都市とコミュニティ(SDG 11)、水面下での生活(SDG 14)、飢餓ゼロ(SDG 2)、きれいな水と衛生(SDG 6)、クリーンで手頃なエネルギー(SDG 7)の分野については、中程度の好ましい進捗があった。
・EU加盟国はEUレベルで設定された環境目標においてより高いレベルの目標を実行する予定であるため、気候変動対策(SDG 13)、陸地の生命(SDG 15)、グローバルパートナーシップ(SDG 17)の3つの目標については、さらなる進展が期待されている。気候変動対策(SDG 13)に関して、EUは2030年に向けて非常に野心的かつ前例のない気候変動目標を設定しており、過去と比較して、より多くの努力が必要となる。EUはすでに、「Fit for 55」パッケージや「EU域内排出量取引制度(ETS)」の改定、加盟国向けに拘束力のある年間温室効果ガス排出量目標を設定する「努力分担規則(ESR)」など、追加の取り組みを実現するための政策手段を導入している。エネルギーの領域でも、EUは2030年に向けてより野心的な目標を設定している。これは、EUにおいてもエネルギー効率と再生可能エネルギーの領域において、今後数年間にさらに大きな進歩が期待されることを意味する。

[DW編集局]