[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2023/06/15
抄訳記事公開日:
2023/06/21

「5~10か所のAIクラスターを」 大統領、5億ユーロの投資表明

VivaTech 2023 : les annonces du Président en matière d'innovation, de numérique et d'intelligence artificielle.

本文:

 フランスのマクロン大統領は14日、5億ユーロを投資し、人工知能(AI)の研究・イノベーションや人材育成に特化した「AIクラスター」を国内に5~10か所程度作る構想を明らかにした。

 同日、パリ市内で開かれたスタートアップ見本市「VivaTech 2023」で言及した。スタートアップ関係者との公開対談のセッションに臨んだマクロン氏は、「わが国が優先すべきは、研究イノベーションを加速させ、強いエコシステムを作ることだ。そこにできるだけ自由度の高いルールを設けることだ」と訴えた。そのうえで「わが国は5億ユーロ規模の資金を投じ、5~10個程度のクラスターを起こさなければならない。それにより卓越したAI拠点を2~3か所形成し、世界最高レベルの人材を輩出したい」などと述べた。

 またマクロン氏は、生成系AIの規制強化を求める声があることを念頭に、「最悪なのは、欧州において米国や中国に比べてAI投資が及び腰となってしまい、まず規制強化ありきになってしまうことだ。それは私の望むところではない」とも語り、規制強化よりも投資促進を優先すべきとの考えを示した。

 フランスでは2021年11月から、「AI国家戦略(第2期)」として「機器搭載用のAI」「信頼性の高いAI」などの研究開発を促しているほか、国家AI調整官の指揮のもと、専門人材の育成を推進するなどしている。今回マクロン氏が表明した「クラスター」構想は、こうした人材育成の取り組みをさらに強化することで、米国などのライバル国に対抗する狙いがあると考えられる。

 <DW編集局からおことわり>

 この記事の引用元である大統領府(エリゼ宮)のホームページでは、大統領発言の文字おこしはされていませんが、対談セッションの動画が全編ノーカット(54分51秒)で公開されており、これにより大統領の発言を確認・検証することができます。この記事は、動画の9分30秒~12分30秒付近をもとに構成しています。(フランス担当フェロー・内田遼)

[DW編集局]