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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 首相府
- 元記事公開日:
- 2023/06/16
- 抄訳記事公開日:
- 2023/06/29
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政府、新たなAI政策投資へ 5年で官民計220億ユーロに
- 本文:
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政府は16日、人工知能(AI)に関して「AIクラスター創設」「AI訓練支援」「企業のDX支援」などを目指す、新たな政策投資を発表した。これらの一部は、マクロン大統領が14日に出席したイベントの席で言及していたが、政府が具体的な内容を発表したことになる。官民合わせた今後5年間の投資総額は約220億ユーロとなり、うち政府から150億ユーロ、民間から5億0,600万ユーロが出される見込み。政府財源は、5か年(2022~26年)投融資計画「フランス2030」である。
■AIクラスター創設
「AIクラスター」は、AIの研究や教育で世界のリーダー的存在になることを目指す大学やグランドゼコールなどを公募し、計5~10か所程度採択するプログラム。採択校に研究や教育で優秀な人材を世界から集め、世界でトップレベルのAI関係エコシステムを作ることを目指す。選考は外国から招く審査員も交えて行うとしている。投資予定額は約5億ユーロ。
政府はこれまでも「トロアジーアー」と呼ばれるAI研究拠点を国内に4か所整備するなどしてきたが、フランス国立研究機構(ANR)によると「わが国のポテンシャルの一部分を表しているにすぎない」という。「トロアジーアー」は今回は優先的に採択される予定だが、政府は「AIクラスター」のブランド化により、こうした機能を継続・強化したいとしている。7月17日まで、ANRが関心表明公募を受け付けている。
■AI訓練支援
生成系AIに対処するためのデジタル共同施設を開設し、AI学習やそのテストのデータベース、さらには新しいAIモデルの基本的訓練を目指す。政府はその開設プロジェクトの公募を行い、4,000万ユーロの資金を投じる。いわゆるAIのギガモデルも対象とし、訓練をまだ実施していないもの、あるいはすでに公開されたのものも含む。
AIの新型モデルを開発や訓練には、国や大企業にしか購入・設置できないようなスーパーコンピューター(スパコン)の高い処理能力を必要とすることがある。またクラウド上での訓練環境を商用提供するケースが出ている。このためフランスでは、AIの新型モデル開発に役立つよう、国立高機能計算推進機構(GENCI)と国立科学研究センター(CNRS)が共同設置するスパコン「ジャン・ザイ(Jean Zay)」を増強し、処理能力を4倍に上げる。また2025年には、EUとの共同投資でエクサスケールコンピューターを導入することで、処理能力が10倍に上がる予定である。
■企業のDX支援
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するため、「AIブースター」と呼ばれる新たな支援体制を整える。各企業の特性やニーズに合わせた訓練や個別相談といった支援メニューをセットにして提供する予定。AI駆使による各企業の製造の近代化や競争力強化を狙う。投資額は約2,500万ユーロ。
[DW編集局]