[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相府投資総務庁(SGPI)
元記事公開日:
2023/06/15
抄訳記事公開日:
2023/07/06

「フレンチテック2030」計画の2023年受賞企業リストの発表

La promotion 2023 du programme French Tech 2030 dévoilée

本文:

(2023年6月15日付、首相府投資総務庁(SGPI)の標記発表の概要は以下のとおり)

国際競争が激しい中で成長力の高い企業を国際チャンピオンに育てる「フレンチテック2030」計画が2月に創設されたことを受け、マクロン大統領は6月14日、同計画としては初となる、社会および主権の課題に対応する新興アクター125社のリストを発表した。

「フレンチテック2030」計画は、産業および技術主権を強化する解決策を目指しており、経済面や技術面での新興企業、とりわけディープテックを支援するものである。受賞者は、政府の5か年投融資計画「フランス2030」に掲げられている「10個の主要目標と6個のテコ」(※編集局注)ごとに決まっており、様々な課題解決に取り組むこととなる。

産業や技術面での自立と主権を実現するためには、将来にわたって活躍できる企業を正しく特定し、国際的な舞台で輝かせるすべての手段を提供する必要があるが、このためには目標を絞った高度な支援を行う必要がある。また財政支援に加え、変化への対応を可能とする商業的機会、国際政策など財政以外の支援措置も重要である。

今回の受賞125社は、少なくとも1年間にわたり、国際開発、資金調達、商業開発など、企業の戦略的課題について新興アクターに適応した財政的および非財政的支援を受ける。また更新も可能である。

さらに政府は、技術的および経済的基準のほか、環境および社会問題にも焦点を当てている。採択企業については、炭素排出の削減とエコロジー転換に取り組む企業を全体の少なくとも50%とし、また女性が設立または運営する企業を少なくとも25%とするという基準を設けている。今回はそれぞれ52%、30%であり、基準を上回っている。

「主要目標」と「テコ」、およびそれぞれの主な受賞企業は以下のとおり。

▽主要目標1:廃棄物管理を改善した革新的小型原子炉を2030年までに開発(ジミーエナジーSASなど)
▽主要目標2:フランスを脱炭素水素のリーダーとし最先端の再生可能エネルギー技術を開発(アクセンタ社など)
▽主要目標3:産業と投入資材の生産を脱炭素化(アタウェイなど)
▽主要目標4:2030年頃にフランス初の低炭素航空機を生産(アセンダンス・フライト・テクノロジーズなど)
▽主要目標5:2030年頃に約2万台の電気自動車とハイブリッド車を生産(アイロ社など)
▽主要目標6:健康的で持続可能かつ追跡可能な食品のためのイノベーションを実施(アグリオドールなど)
▽主要目標7:少なくとも20のバイオ医薬品、特にがん、慢性疾患のバイオ医薬品を生産し、革新的な医療機器を開発・生産(アモリット製薬など)
▽主要目標8:文化的・創造的なコンテンツの制作の最前線へフランスを戻す(パーペチュエル・エモーションなど)
▽主要目標9:新たな宇宙の冒険におけるフランスの役割を完全に遂行(カイラブズ社など)

▼テコ1:原材料へのアクセスを確保(ブラックリーフなど)
▼テコ2:エレクトロニクス、ロボット工学、スマートマシンなどの戦略的コンポーネントへの安全なアクセスを確保(アルタロードなど)
▼テコ3:研修の未来を構築しつつ人材を育成(ノマド・エデュケーション社など)
▼テコ4:主権を確保した安全なデジタルテクノロジーを実現(アリス・アンド・ボブ社など)

(※編集局注)この記事の原文においては「10個の主要目標と6種類のテコ」と表記されながらも、実際には「主要目標」は9種類、「テコ」は4種類しか言及されていませんでした。しかしこの約2週間後、6月28日にSGPIが公表した「活動報告書2022」において、「主要目標」は10種類と「テコ」は6種類あることが公式に明らかになりました。後日、関連記事をリリースする予定です。(フランス担当フェロー・内田遼)

[DW編集局]