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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 首相府投資総務庁(SGPI)
- 元記事公開日:
- 2023/06/21
- 抄訳記事公開日:
- 2023/07/18
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SGPIデジタル主権部門ディレクター、フォール氏へのインタビュー
- 本文:
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(2023年6月21日付、首相府投資総務庁(SGPI)の標記記事の概要は以下のとおり)
2021年5月からSGPIのデジタル主権部門のディレクターを務めるジョルジュ=エティエンヌ・フォール氏は、イノベーションとデジタルの専門家である。同部門の役割と意気込み、そしてデジタル部門の今後の主な課題を同氏に聞いた。
1.「デジタル主権」部門とその内部組織について
政府の5か年投融資計画「フランス2030」のデジタルチームは、デジタルおよび関連プロジェクトに関わる省庁の活動を調整する5名で構成され、クラウド、AI、5G、サイバーセキュリティ、量子などに関する戦略を支援し、ハードからソフトまで幅広い範囲をカバーしている。この部門は、さまざまな活動の連携や重複をとらえ、公共政策の一貫性を確保している。
この部門は、今日、デジタル技術がさまざまな研究、イノベーションに関わっているため、「フランス2030」の中で中心的な役割を果たしており、デジタル教育、エコロジー転換、デジタルヘルスのリファレンスになることを目指している。
2 .デジタル主権部門の「フランス2030」における意気込みについて
今日、デジタル分野では米国と中国が優勢で、時には覇権的となり、主権の喪失が懸念されている。経済的利益が非同盟国の政府系の関係者に握られている状況では、自らの運命を選択する能力、すなわち主権を有しているとはいえない。フランスの文化的消費の80%がアメリカの業者を通じて行われ、さらに通信においてもフランスの法律を執行できず、逆にフランスの通信管理者自らが制御できない法律を適用しなければならない状況は、主権を喪失していると言える。デジタル主権部門は、主権の担い手として、技術的に非常に高度な解決策を導くこととしている。
主権は、新興企業へ知識、研究の卓越性を迅速に移管し、言語、価値観などの欧州の特異性を考慮し、企業への資金提供を支援することで、構築されている。とくに表現の自由または個人情報の保護には、フランスや欧州の考え方がある。
技術的および社会的に重要な企業を支援しているが、主権の問題も考慮に入れる必要がある。チームの目標は、「フランス2030」全体と同様、フランスの経済と社会に影響をもたらすことである。そのために約10億ユーロの予算を用意している。
3.今後の主な課題と対応について
デジタル主権に貢献するイノベーションと研究を支援するには、多くの課題がある。チームの活動は、市民にも理解してもらい、また利益を得る可能性のあるすべての企業、大企業から新興企業まで、周知していく必要もある。「フランス2030」に活躍の場があることを理解してもらい、イノベーションに賭けるすべてのアクターとリスクを共有しつつ、支援することが基本である。
1つ目の課題は、多くのプロジェクトから最適なものを選択するために、対策をより分かりやすく簡素化することである。プロジェクトリーダーとの議論をオープンに行い、ビデオ会議などの機会を設けつつ、すべての人にこのチームを開いていくことである。
2つ目の課題は、ツールの幅を広げることである。現在「フランス2030」では、多くの助成金や返済可能な前渡金を用意しているが、投資も重要な要素であり、また公共調達も十分に活用されていない。デジタルでは、スタートアップは受注を好むと言われている。
3つ目の課題は、日々生じる課題に常に対応し、注意を払うことである。デジタルの世界は動きが速く、社会、経済、技術の大きな変革に後れを取らないよう、技術の進歩と新たな用途を日々監視する必要がある。
[DW編集局]