[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相府投資総務庁(SGPI)
元記事公開日:
2023/07/03
抄訳記事公開日:
2023/07/31

革新的医療機器開発の重要課題「手術用ロボット」「人工器官」の立ち上げ

France 2030, lancement de deux Grands Défis pour développer et produire les dispositifs médicaux innovants de demain : « robotique en chirurgie / bloc augmenté » et « prothèses et implantables »

本文:

(2023年7月3日付、首相府投資総務庁(SGPI)の標記発表の概要は以下のとおり)

レスキュール経済・財務・産業・デジタル主権大臣付特命大臣(産業担当)は、経済・財務・産業・デジタル主権省企業総局(DGE)と首相府医療イノベーション庁(AIS)が主導する二つの重要課題、「手術用ロボット/デジタル拡張手術室」と「人工器官とインプラント」の立ち上げを発表した。革新的医療機器の開発とマーケティングを加速し、将来のイノベーションの創出を目的とする。

政府の5か年投融資計画「フランス2030」では、医療機器企業に対する支援4億ユーロを含め、医療部門全体に75億ユーロが投資されることとなっており、政府は、フランスの医療産業を再興し、欧州および世界レベルのリーダーの出現を加速することを目指している。医療機器部門の企業は、患者と医療専門家のニーズに対応したイノベーションを絶えず行っているが、規制の変更、原材料コストの上昇、資金調達の困難さなど、多くの課題に直面している。こうした中、DGEとAISは、未来の手術用ロボットの開発、インプラントと人工器官の性能と耐久性の向上を課題と認識していた。

今回発表された二つのこれらの重要課題では、プロジェクト公募・入札募集などの財務面、現行規制の改正の提案などの規制面、関心表明公募や関係者間の研究開発協力などの組織面で、さまざまな対策が取られている。

このうち「手術用ロボット/デジタル拡張手術室」では、フランスを医療ロボットの世界的リーダーにすることを目指している。

ロボット工学/AI時代の到来により、特に手術用ロボットなどでは、医療に新たな視点がもたらされ、術後外傷の縮小、外科的処置の質の向上が可能になる。この課題では、特に手術用ロボットの開発に不可欠な新技術をもたらすため、以下を目指している。

▽ロボットが、反応性、適応性、安全性において医師と患者の間の信頼できるインターフェースになること
▽特にメカトロニクス、手術、制御、機械対機械のインターフェース、人間対機械のインターフェースの5つの要素において医療処置を計画化し、ロボット化すること
▽遠隔医療の発展に貢献すること
▽ロボットの制御方法の学習曲線を改善すること

また「人工器官とインプラント」では、画期的なイノベーションの出現を促進する。

埋め込み型医療機器は、その侵襲性、部位および患者との接触時間もあって高いリスクが潜在しており、人工器官と埋め込み型医療機器は、患者の制約とニーズに対処するために常に進歩している。このため、治療経過観察では、デバイスの性能と耐久性のモニタリングが定常的に行われている。「人工器官とインプラント」では、画期的なイノベーションを生み出す以下の視点を定めている。

▽医療機器の耐久性および適合性を改善する生体適合性、生分解性、生体吸収性、活性を有する新材料および生体材料の開発
▽時間通りの配達、特に事故リスクの早期検出を目的としたセンサー間の連携、個々人に合わせたパラメーター設定など機能の革新
▽耐摩耗性の向上、劣化生成物の拡散の制限、外部エネルギーに依存しない自律型人工器官への移行、最新ソフトウェアを融合させた最適なサイバーセキュリティの確保、長期的なパフォーマンスと安全性の向上

目標を達成するため、DGEはこれら2つの重要課題のリーダーを採用した。リーダーは、AISだけでなく、保健・予防省や高等教育・研究省とも連携し、7月からすべての利害関係者と協議を行い、年末までに5年間の目標を含むロードマップ、除去すべき主な技術的障壁、取るべき行動を提案することとなっている。

[DW編集局+JSTパリ事務所]