[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2023/07/18
抄訳記事公開日:
2023/08/14

原子核物理学に特化した新たな仏米研究所の創設

Un nouveau laboratoire franco-américain dédié à la physique du noyau atomique

本文:

(2023年7月18日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は以下のとおり)

CNRSは7月18日、米国ミシガン州立大学と提携して、同州の希少同位体ビーム施設(Facility for Rare Isotope Beams:FRIB)内に、核物理学および天体物理学に関する国際研究所を開設した。CNRSとしては7番目の米国内研究所となる。

この国際研究所では、極小の世界における原子核の性質や、天体物理学にとって関心の的である核プロセスに関する研究を行う。無限に小さい原子核で働くメカニズムは、重元素の元素合成が起こる中性子星の衝突など無限に大きい天体の現象と密接に関連している。

これら2つの無限の交差点となる新しい研究所は、CNRSと仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)の国立重イオン大型加速器(Grand Accélérateur National d’Ions Lourds:GANIL)および米FRIBを中心とする両国の科学者間の既存の関係を強化するものである。

この新たな研究所では、自然界には存在しない、陽子や中性子を過剰に含む非常に寿命の短い原子核の研究が行われる。これらの原子核を大量に発生させて、その特性を研究し、非常に複雑なシステムを可能な限り正確に記述し、原子核内の核子(陽子と中性子)を結合する原子核内の相互作用をよりよく理解する洗練された理論モデルを確立することに貢献する。一方、両国の施設の共通の関心事である観測機器の開発にも焦点を当てるとともに、学生やポスドクを受け入れ、またコミュニティと知識を共有する役割も果たすこととなる。

この研究所は、フランスの物理学界のショーケースにもなるとともに、米国におけるCNRSの歴史的存在を強化し、両国の研究機関の間の積極的な協力を育むこととなる。

[DW編集局]