[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2023/07/20
抄訳記事公開日:
2023/08/25

CNRS、持続可能な戦略に基づきアフリカとの協力を強化

Le CNRS intensifie sa coopération scientifique avec les pays africains : vers un partenariat d'avenir basé sur une stratégie coconstruite et durable

本文:

(2023年7月20日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は以下のとおり)

アフリカとの協力の一環として開始された「CNRS-アフリカ」プロジェクト公募キャンペーンは、アフリカと欧州双方の企業にとって付加価値の高い革新的なプロジェクトを選んできた。

ここ数年は転換点となり、2019年以降、共同プロジェクトがいくつか完了し、2023年「CNRS-アフリカ」プロジェクト公募キャンペーンにより、ビジティングフェローシップ、レジデンシャル研究スクールおよび共同研究プログラムという3つの新しい協力枠組みが始まった。計155件の提案課題から選ばれた計32件には、CNRSの全研究所、全分野が関わり、またアフリカの約20か国がバランスよく参加している。

アフリカに対するCNRSの戦略は、知識とスキルの相互共有を重視し、文化、学問、大陸の間の架け橋として機能する、研究者のネットワークを構築し、またこれらのプロジェクトを通じてアフリカの若い世代の研究者を支援することである。

3つの新たな協力枠組みの概要は以下のとおり。

▽ビジティングフェローシップ:旅費を支給して研究者間の共同研究を推進するものであり、今年は、鉄の転位のダイナミクスに関する研究(ニジェール)や不安定な気象の分析(ブルキナファソ)など、10件が支援される。中でも南アフリカとアンゴラにおける都市計画に関するフェローシップでは、アフリカの都市建設問題に焦点を当て、地元の政治的問題、倫理的問題に疑問を投げ、都市建設に関する批判的なビジョンを提供することを目指し、都市の住民、市長などと協力してトップダウンモデルに問題提起するとしている。

▽レジデンシャル研究スクール:基本的な概念から最先端の研究に至るまでのコースを組み合わせることで知識の伝達を促進し、研究ツールと方法論を習得することを目指すものであり、数週間の訓練により、科学協力を強化する貴重な手段となる。資源リサイクル(ガーナ)、電気化学(ベナン)、機能性ナノ構造材料(モロッコ)の研究など10件が支援される。特に、タンザニア北部の地質学的危険性の評価と管理に関する「タンザシュール(TanzaShule)」プロジェクトは、東アフリカ地溝帯の研究に取り組み、理論と現場での実践を組み合わせて、同地の地質学的危険性に関する包括的なトレーニングを学生に提供することを目的としている。

▽共同研究プログラム:既存の協力活動を強化して研究と訓練を促進することを目指し、国際会議の開催、プロジェクトに関わる旅費および3年間の博士課程への助成金を支援する。モロッコ、セネガル、ガボン、ケニアなどのチームが受賞し、未開発地での開発のための人工知能、地下水資源、抗生物質耐性菌など12件の研究を支援する。特にコートジボワールの地下水資源への脅威に関する問題については、パリ・サクレー地球科学研究所が協力して、経済首都アビジャンにおける人口増加、気候変動、人為的圧力、都市化の加速による水資源、特に地下水の問題に対処する。

CNRS は、アフリカにおける科学の推進に関わる重要な役割を確信しており、将来に向けたパートナーシップを構築し、知識の共有を促進し、協力ネットワークを発展させることに尽力している。

[DW編集局]