[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2023/07/21
抄訳記事公開日:
2023/09/01

ONERAとCNRS、最先端の航空宇宙研究に向けた連携を強化

L'ONERA et le CNRS renforcent leur collaboration pour une recherche aérospatiale de pointe

本文:

(2023年7月21日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は以下のとおり)

7月21日、CNRSと国立航空宇宙研究所(ONERA)は、水素飛行機から衛星のイオン推進、防衛に関わる通信システムに至る重要な課題を推進するための枠組み協定を更新した。

CNRSとONERAは、航空、宇宙、防衛の基礎科学分野での協力を促進することとしているが、今回の枠組み協定は、そうした両機関の協力の主な原則を再定義し、国際的な側面を強化しつつ、有望な新しい研究分野を確立する機会となる。

CNRSと、国防省の監督下にあるONERAの協定は、過去10年間、特に天文学のための補償光学システム、宇宙科学のための微細構造など、航空、宇宙、防衛の分野における科学的および技術的成果を生み出してきた。

ONERAとCNRSの間の協力は、特に2つの混成研究ユニットと5つの研究連合で共同プロジェクトが実施されていることに具体的に現れている。例えば1998年に設立されたサクレーにある微細構造研究室では、グラフェンなどの先端材料の分野で革新的な研究が行われてきた。また、ONERAとCNRSの技術の組み合わせから恩恵を受ける研究協力は物理モデリング、流体力学、人工知能などのさまざまな分野に広がっている。

4人のCNRS研究者と16人のONERA研究者によって2020年に設立されたCNRS工学システム科学研究所 (INSIS)の研究室では、北部リールにあるONERAのテストセンターのリソース、特に風洞のプラットフォームから恩恵を受けて、飛行に関する空気力学的な最先端の研究を実施することができた。INSISはまた、約20の研究室でONERAと協力して、航空音響学、航空空気力学、イオン推進など、多数のプロジェクトを実施してきた。衛星のイオン推進などは、国立宇宙研究センター(CNES)などの共通パートナーとも協力しており、また通信システムも防衛に関する多くの協力が行われている重要な分野である。

気候変動と持続可能なエネルギーの問題では、水素推進が主要な研究軸であり、まだ初期段階ではあるが航空宇宙産業を変革し、より持続可能なモビリティに貢献する可能性がある。ONERAは、欧州のプロジェクトや産業パートナーの利益のために民間航空の脱炭素化に深く関わっている。

CNRSは、ONERAに対してより根本的なアプローチを提供し、ONERAは、CNRSに対して全く想定外の問題解決方法を与えるという関係が築かれてきた。

ONERAとCNRSが共有するビジョンは、イノベーションと科学の進歩に対する共通の願望であり、この枠組み協定の更新により、両研究所は共に将来への野心を再定義し、知識をさらに推し進め、将来の技術的課題に対処し、研究における、あるいは研究を通じた新世代の研究者やエンジニアの訓練に貢献することとしている。

フランス、欧州そして世界の航空宇宙部門が激動し、重大な課題に直面している中で、応用研究の役割はかつてないほど重要になっている。ONERAとCNRSは、この協力の新たな段階でフランスの航空宇宙研究に新たなページを開こうとしている。

[DW編集局]