[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国王立協会
元記事公開日:
2023/08/10
抄訳記事公開日:
2023/09/15

英国王立協会による「国連グローバル・デジタル・コンパクト」への提言

The Royal Society’s submission for the United Nations Global Digital Compact

本文:

(2023年8月10日付、英国王立協会の標記発表の概要は以下のとおり)

国連事務総長の技術担当特使が主導する「グローバル・デジタル・コンパクト」は、「すべての人にとってオープンで自由で安全なデジタルの未来に向けた原則の概要を示す」ことを目的としている。これは、国連事務総長の2021年9月の報告書、「我々共通の課題(Our Common Agenda)」で提案されたものである。「コンパクト」に関する協議では、いくつかのテーマ領域について情報収集が行われ、a)すべての政府、企業、市民社会組織などが遵守すべき基本原則、b)さまざまな利害関係者がなすべき主要な取り組み、公約、行動についての意見を求めた。

この協議に対する王立協会の回答は2023年4月に提出され、「グローバル・デジタル・コンパクト」は2024年9月の「未来サミット(Summit of the Future)」で合意される予定である。

王立協会の提言は、データとデジタル技術に関連するさまざまな報告書に基づいて、「データの保護」、「差別と誤解を招くコンテンツに対する責任」、「人工知能の規制」、「世界的な公共財としてのデジタル・コモンズ」の各テーマ領域に関する意見を提示している。

◼ データの保護
・基本原則:責任あるデータ・ガバナンスは人類繁栄の基礎である。
・主な取り組み:
-エンドツーエンド暗号化など、機密データ共有のための暗号化の堅牢性を維持し、その普及を促進する。
-プライバシー保護強化技術(Privacy Enhancing Technologies:PETs)のプロトコルと規格を確立する。
-重要課題に対するデータ駆動型のソリューションを可能にするPETsの開発を奨励する。

◼ 差別および誤解を招くコンテンツに対する責任基準
・基本原則:科学的主張の真実性についての率直かつオープンな議論が社会に利益をもたらす。
・主な取り組み:
-政府やソーシャルメディア・プラットフォームは、科学的に誤った情報に対する解決策として、コンテンツの削除に頼るべきではない。
-ソーシャルメディア・プラットフォームは、独立した各検索者がプライバシーに準拠した安全な方法でデータにアクセスできる方法を確立する必要がある。
-生涯にわたる情報リテラシーへの取り組みに投資する。

◼ 人工知能の規制を促進する
・基本原則:強力なデータ保護規制は、社会の信頼とAIの安全かつ倫理的な発展に不可欠である。
・主な取り組み:
-強力なデータ保護規制を採用し、推進する。
-AI開発に当たってはシナリオ別のデータ保護指針を策定する。
-オープンデータの環境を整備する。

◼ 世界公共財としてのデジタル・コモンズ
・基本原則:ネットゼロ炭素排出の達成に役立つデータ及びデジタル技術は、アクセス可能で、可能な限りオープンにする必要がある。
・主な取り組み:
-エネルギー消費と二酸化炭素排出量の監視を強化するため、技術部門は模範を示すよう奨励される必要がある。
-ネットゼロに向けた技術開発へのオープンなアプローチを奨励する。
-既存のデータ・インフラにネットゼロに向けた能力を構築する。

[DW編集局]