[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
科学・イノベーション・技術省(DSIT) 
元記事公開日:
2023/09/07
抄訳記事公開日:
2023/10/02

政府における量子技術の利用促進で1,500万ポンドのコンペティション

£15 million competition to accelerate use of quantum in Government

本文:

(2023年9月7日付、科学・イノベーション・技術省(DSIT)の標記発表の概要は以下のとおり)

本日、健康、交通、ネットゼロなどの分野における政府の取り組みに量子技術を活用するメリットを探る、1,500万ポンドのコンペティションの最初の採択プロジェクトが発表された。

「量子技術促進基金(Quantum Catalyst Fund」」は、公共部門による量子ソリューションの導入加速を目的としており、さまざまな政策分野で量子技術を活用する利点を英国政府が十分に活かす事ができるようにするものである。

政府の5大重要技術の1つである量子技術は、量子力学を活用して、バイナリ・コンピュータのような「古典的な」マシンでは対応できない機能を提供するデバイスやシステムである。これらはすでに社会における最大の課題の一部について見込まれる対処策を提示しており、まだ追求されていない将来の機能を提供する可能性もある。これらの技術は、現在の最先端の従来型コンピュータの能力を超える複雑な問題に対処できる可能性を秘めており、センシング、タイミング、イメージング、通信の新たなフロンティアに到達することを可能にする。今後10年間で、量子技術は英国の生活の多くの側面に革命をもたらし、英国経済の成長や国内全域での高賃金雇用の創出など、多大な恩恵をもたらすことが期待されている。例えば:

・量子コンピュータによる計算能力の飛躍的な向上は、創薬技術の劇的な改善から、遺伝的・環境的因子に基づいた個別化医療の提供まで、我々の医療システムに革命をもたらす可能性がある。
・量子センシング・イメージングは、地下埋蔵物について前例のない洞察を提供し、環境モニタリングや大規模建設プロジェクトにおいて数十億ポンドの節約につながる。
・量子時計や量子通信は、衛星リンクを必要としない新たなナビゲーションやタイミング機能を開発するのに役立ち、鉄道、電気通信、緊急サービスにさらに優れたレジリエンスを提供する。

この基金の下での実現可能性調査の第1ラウンドでは、てんかん、脳震盪、認知症に対処する量子対応脳イメージングや、エネルギーグリッドの最適化問題を解決し、ネットゼロの実現に貢献する量子コンピューティングなど、この技術が公共サービスにおいてどのような新たな機能を提供できるかを調査する。

政府が関心を示す領域には次のようなものがある。

・輸送:地下調査能力向上と基盤構造プロジェクトの納期の改善、および列車のより正確な位置とタイミングのリアルタイムでの提供
・宇宙:量子技術の宇宙ベースのプラットフォームへの融合による、地球の気候と環境に関する情報提供、および宇宙ベースのアプリケーションへの応用
・健康:健康管理能力の創出や向上
・犯罪対策:貨物や小包の異常検知能力強化による密輸の防止
・国防:データ分析の課題解決
・ネットゼロの実現

[DW編集局]