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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2023/09/12
- 抄訳記事公開日:
- 2023/10/11
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中小企業の競争力とレジリエンスを高める新規救済策
- 本文:
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(2023年9月12日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)
欧州委員会はこのほど、現在の経済環境における欧州の中小企業(SME)のニーズに応える一連の取り組みを発表した。欧州の企業の99%を占める中小企業は、欧州のグリーンおよびデジタル移行の重要な推進力であるが、近年の数々の危機の結果、予測不可能性と不安定性に引き続き直面している。
今回の「中小企業救済通達(SME Relief Communication)」は、短期的な救済策に加えて、中小企業の長期的な競争力を高め、「単一市場(Single Market)」全体のビジネス環境の公平性を強化する新たな措置を提案している。これらの措置の一環として、欧州委員会はこのほど、「商取引における支払遅延に関する規制(Regulation on late payments in commercial transactions)」、および「SME向け本社税制(Head Office Tax System for SME)確立指令に関する新たな提案も発表している。追加の取り組みでは、中小企業の経済的潜在力を最大限に引き出すため、中小企業の資金支援へのアクセスをさらに促進し、ビジネス環境を改善し、中小企業の中堅企業への成長を支援することを目的としている。
特に、商取引における支払い遅延対策に関する新規制では、中小企業のキャッシュフローを損ない、サプライチェーンの競争力とレジリエンスを妨げる不公平な慣行である支払い遅延に対処する。この提案では、最大30日という厳格な支払期限を導入し、曖昧さを排除し、現在の指令の法的ギャップに対処する。提案された規定ではまた、未払い利息や補償金の自動支払を保証し、悪質な支払い者から企業を保護するための新たな執行・救済措置を導入する。
「中小企業向けの本社税制」は、恒久的施設を通じて国境を越えて事業を行う中小企業に、複数の税制に準拠するのではなく、本拠地の税務当局のみとやり取りで済むオプションを提供する。この提案は、二重課税や過剰課税、税務紛争のリスクを最小限に抑えながら、税務の確実性と公平性を高め、経営上の意思決定に影響を与えるコンプライアンスコストや市場の歪みを低減する。予想されるコンプライアンスコストの削減は、特にEU域内での国境を越えた投資拡大を促進することになる。
さらに、本通達では、次のようないくつかの立法以外の措置も提案している。
・中小企業を取り巻く現在の規制環境の改善
・中小企業が求められる行政手続きと報告要件の簡素化
・中小企業が利用可能な投資の拡大
・中小企業の繁栄に必要な熟練労働力の育成
・中小企業の定義見直しを通じた、潜在力を最大限に引き出す支援策 [DW編集局]