[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省
元記事公開日:
2023/10/12
抄訳記事公開日:
2023/10/30

政府、新「世界保健戦略」を公表

La France lance sa nouvelle stratégie en santé mondiale (2023-2027)

本文:

 政府は12日、2023~27年期の新しい「世界保健戦略」を公表した。世界の公衆衛生のためにフランス政府が果たすべき役割を盛り込んでおり、世界保健機関(WHO)とも共有する。

 近年の世界情勢を巡っては、以前からの気候変動や地政学的要因に加え、新型コロナウイルスの流行やロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、持続可能な発展目標(SDGs)の実現が厳しさを増している。こうした状況のなか、フランスが世界の公衆衛生のために果たすべき役割のロードマップとして、ヨーロッパ・外務、高等教育・研究、保健・予防の3省が共同で、約2年かけて今回の戦略を検討してきたという。

 優先事項は次の5点である。

  1. 強靱でバランスのとれた医療システムを育て、良質な医療に誰もがアクセスできるようにする。
  2. 市民の医療・福祉を発展させ、疾病の周知を図るとともに、どの年齢層にあってもその疾病に立ち向かえるようにする。
  3. 「唯一の医療」アプローチにのっとって、公衆衛生上の非常事態や気候変動の結果に備え、そして即応する。
  4. 世界の医療をより確実で連携のとれる構造にする。
  5. フランス独自の研究や検証を行い、今回のこの戦略遂行に役立てる。

 リヨンで行われた発表会見には、3省の大臣のほか、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長も加わった。シルヴィー・ルタイヨ高等教育・研究大臣は「わが国の高等教育や研究の関係者は、公衆衛生の国際共同研究のプラットフォーム作りに貢献しており、ギニア、コートジボワール、コンゴ民主共和国などの国々で、それらはすでに実証されている。WHOの研究にも参画し、多くの大学や研究機関とも協業している。アカデミアにおける多様な人材育成のノウハウにより、医療を学ぶ人間の経験値を高めていきたい」と話した。またテドロス事務局長は「今回のフランス政府の新戦略は、医療を育て、提供し、住民を守り、そしてその効果を担保しようとするWHOの戦略とも完全に整合している」と歓迎した。

[DW編集局]