[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2023/10/24
抄訳記事公開日:
2023/11/17

クリーン技術への投資促進のためのEU政策に関する報告

Commission reports on EU policy initiatives to promote investments in clean technologies

本文:

(2023年10月24日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

クリーン技術は、グリーン移行、気候変動、生物多様性の損失への取り組みにおいて重要な役割を果たしている。EUは、「欧州グリーンディール」の下、賢明な政策の組み合わせを通じて、成長を促進し、クリーン技術の開発、生産、展開を促進する規制枠組みと事業環境を構築してきた。

・インセンティブと予測可能性
EUは、2050年までに欧州を初の気候中立大陸にする野心的な規制枠組みを策定した。重要なことは、「Fit for 55」法案には、強化・拡大された「排出量取引制度(Emissions Trading System)」と、EUが2030年までに温室効果ガス排出量を少なくとも55%削減する軌道に乗せるという新たな「炭素国境調整メカニズム(Carbon Border Adjustment Mechanism)」が含まれていることである。さらに、欧州委員会は、煩雑な手続きや事務的負担を徐々に軽減し、特に「ネットゼロ産業法(Net-Zero Industry Act)」により、クリーン技術プロジェクトの認可をより簡単かつ迅速なものにしている。

・EUによる投資
2021年~2027年に、EU総予算の32.6%、5,780億ユーロが気候変動対策に充てられると予測されている。欧州委員会はまた、イノベーション基金から8億ユーロの予算を投じて、再生可能水素の生産に特化した初のEU全域を対象とした入札を開始する。

・民間投資
EUの規制環境整備により、民間資金を効果的に調達し、脱炭素化に貢献する経済活動に向けることができる。

・国の公共投資
各国の援助政策は、国家レベルでクリーン投資を支援する多くの可能性を提供する。2023年3月以降、欧州委員会はクリーン技術への投資として総額約69億ユーロの加盟国の計画を承認しており、現在、追加の計画の評価を行っている。

・関係機関との連携
「欧州バッテリー連盟」や「クリーン水素連盟」などの同盟は、産業界と政策立案者を結び付けて、より強力な協力を促進する上で重要な役割を果たしている。

・スキル
「ネットゼロ産業アカデミー(Net-Zero Industry Academies)」は、EUの労働者が、グリーン経済移行とデジタル経済移行の推進に必要なスキルを確実に修得するのに役立つ。

・レジリエンスと競争力
「グリーンディール産業計画(Green Deal Industrial Plan)」は、欧州のクリーン技術産業の競争力を保護し、欧州を産業イノベーションのリーダーとして位置づけることを目的としている。「ネットゼロ産業法」は、ネットゼロ技術の障壁に対処し、欧州の製造能力拡大を目的としており、「重要原材料法(Critical Raw Materials Act)」は、欧州の産業にさらなる確実性をもたらすことになる。

・国際的な関与と積極的な通商政策
EUは、国際協力と必要に応じた自主的な措置を通じ、サプライチェーンの強靱性と多様化、ひいては経済安全保障を引き続き強化する。

※米国「インフレ抑制法(IRA)」の影響を緩和する
IRAにより、米国は気候変動対策の取り組みを強化しており、これは歓迎すべき進展である。グリーン移行を支援する米国のアプローチは、低炭素技術の国内製造エコシステムを構築するための直接・間接的な補助金をベースにしている。IRAの一部の要素、特に差別的な内容とアセンブリー要件に関して、EUを含む国際パートナーの間で懸念が生じている。これらは、国際貿易と投資の歪み、米国以外に拠点を置く企業への悪影響、世界貿易機関(WTO)規則との整合性などである。

[DW編集局]