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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 英国研究・イノベーション機構(UKRI)
- 元記事公開日:
- 2023/10/24
- 抄訳記事公開日:
- 2023/12/01
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英国バイオフィルム・イノベーション・センターが経済成長を推進
- 本文:
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(2023年10月24日付、英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記発表の概要は以下のとおり)
英国バイオフィルム・イノベーション・センター(NBIC)の独立機関によるレビューで、バイオフィルムの研究が英国経済に大きな利益をもたらしていることが明らかになった。
2017年12月から2022年12月までの5年間を対象とした上記調査では、英国経済全体に及ぶ合計約2億400万ポンド(政府による投資額は1,600万ポンド)の効果が明らかになった。
■ 連携と協力
NBICは、バイオフィルムを制御し活用する画期的な科学技術を提供するため、世界トップクラスの学際的研究と産業界パートナーシップの融合を創出するイノベーション・ナレッジ・センター(IKC)である。このセンターは、 4つの主要大学(エディンバラ大学、リバプール大学、ノッティンガム大学、サウサンプトン大学)によって2017年に設立された。
■ バイオフィルムの活用
バイオフィルムは、抗菌剤耐性や食品の安全性から水の安全保障に至るまで、最も重要な地球規模の課題の中心となっている。これらの生きた微生物集合体は、英国と世界の経済の双方に大きく貢献している。
2022年5月にNBICが実施した調査では、バイオフィルムが関与する市場の価値は英国で450億ポンド、世界では4兆ドルに相当すると推定されている。
同センターの概念実証プロジェクトでは、それぞれ推定2,300万ポンドと3,050万ポンドと推定される環境および社会的利益も実証されている。
■ 人材育成と機会創出
NBICは、中小企業から大企業まで、さまざまな部門(環境構築、エネルギー、食と農業、医療、海洋、機械・土木工学、パーソナルケア、水管理)において300以上の企業と連携している。
産業界協力者ネットワークの成長と拡大に対するNBICの取り組みは、特に雇用創出に関して英国経済に恩恵をもたらしている。独立機関によるレビューでは、NBICが出向、研究職、スピンアウト企業での雇用など、51の新たな雇用を創出したほか、さらに50件の雇用創出に貢献した。
NBICはまた、次世代の科学リーダーの育成にも貢献しており、76人の学生がNBICの支援を受けている。この中には博士号取得候補者66名が含まれており、そのうち6名は留学生である。
■ 投資とパートナーシップ
NBICの中核となる大学には、さらに3,290万ポンドの官民投資が集まっている。これは現在までに約4,300万ポンドの経済効果をもたらしたと推定されており、追加の研究資金が投入されれば、さらに大きな経済効果が得られる。
さらに、NBIC関連大学の地域内にあるバイオフィルム活動のクラスターは、さらなる公的資金や産業界からの資金を集めており、その影響総額は810万ポンドと推定されている。
本組織は、米国モンタナ州のバイオフィルム工学センター(Center for Biofilm Engineering)やシンガポール環境生命科学工学センター(Singapore Centre for Environmental Life Sciences Engineering)など、著名な研究機関と国際パートナーシップを結んでいる。また、国際バイオフィルム標準タスク・グループ(International Biofilm Standards Task Group)の設立においても極めて重要な役割を担っている。
■ UKRIによる支援
2022年12月、バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)とInnovate UKは、NBICプログラムの第2段階の支援に750万ポンドを投資した。
この資金提供は、NBICが産業部門全体で革新的なソリューションの導入を推進できるようにするだけでなく、国際取引を支援する新たなバイオフィルム・ソリューションの基準と規制を段階的な改定するようNBICを支援している。
[DW編集局]