（2023年10月30日付、大統領府の標記発表の概要は以下のとおり）

本日、バイデン大統領は、米国が人工知能（AI）の活用とリスク管理において主導権を確保するための画期的な大統領令を発令し、次のような行動を命じた：

①AIの安全性とセキュリティに関する新たな基準
強力なAIシステムの開発者に対し、安全性テストの結果やその他の重要情報を米国政府と共有することを義務付ける。「国防生産法（Defense Production Act）」に基づき、重大なリスクをもたらす基盤モデルを開発する企業は、そのモデルを訓練する際に連邦政府に通知し、安全性テストの結果を共有しなければならない。
国立標準技術研究所（NIST）は、AI公開前の安全性を確保するための厳格な基準を設定する。AIが生成したコンテンツを検出し、公式なコンテンツを認証するための基準とベストプラクティスを確立することにより、AIを利用した詐欺や欺瞞から米国人を保護する。

②米国人のプライバシー保護
プライバシーを保護する技術の開発と使用を加速させるための連邦政府支援を優先させる。国立科学財団（NSF）は迅速なブレークスルーと開発を促進する研究ネットワーク活動に資金を提供し、暗号ツールなどのプライバシー保護の研究と技術を強化する。AIシステムで使用されるものを含め、プライバシー保護技術の有効性を評価するための連邦機関向けガイドラインを作成する。

③公平性と公民権の促進
AIの無責任な使用は、司法、医療、住居などに関連する差別や偏見の助長につながる可能性がある。このため、AIアルゴリズムが差別助長に繋がらないよう、明確な指針を提供する。AIに関連する公民権侵害を捜査・起訴するためのベストプラクティスについて、研修、技術支援、司法省と連邦公民権事務所間の調整を通じて、アルゴリズム差別に対処する。

④消費者、患者、学生の保護
医療におけるAIの責任ある利用と、安価で生命を救う医薬品の開発を促進する。また、保健福祉省（HHS）は、AIに関連する被害や危険な医療行為の報告を求め、それを是正するための安全プログラムを構築する。AIを活用した教育ツールを導入する教育者を支援するためのリソースを作成し、AIによる教育の変革の可能性を探る。

⑤労働者の支援
AIによる雇用代替、労働基準、職場の公平性、安全衛生、データ収集に取り組むことにより、労働者にとってのAIの弊害を軽減し、利益を最大化するための原則とベストプラクティスを開発する。

⑥イノベーションと競争の促進
AI研究者らにAIリソースやデータへのアクセスを提供する「国家AI研究リソース（NAIRR）」の試験運用や、医療や気候変動などの重要分野におけるAI研究への助成金の拡大を通じて、米国全体のAI研究を促進する。小規模な開発者や起業家に対して技術支援やリソースを提供し、公正でオープンかつ競争力のあるAIエコシステムを促進する。ビザ基準を合理化し、重要分野で高度な専門性を持つ外国人の活用を拡大する。

⑦米国のリーダーシップ向上
AIに関する二国間、多国間、および多様な関係者との協力を拡大する。国務省（DOS）は商務省（DOC）と協力し、AIの有効活用、リスク管理、安全確保のための強固な国際的枠組みの確立を主導する。

⑧政府による責任ある効果的なAI利用
権利と安全を守るための明確な基準、AI調達の改善、AI導入の促進など、連邦省庁のAI利用指針を発行する。各省庁は、関連分野の全職員にAIトレーニングを提供する。

[DW編集局]