（2023年11月1日付、科学・イノベーション・技術省（DSIT）の標記発表の概要は以下のとおり）

英国が初めて招集し米国、中国、EUなどを含むAI先進国は、2023年11月1日、ブレッチリー・パークにおいて、最先端のAIがもたらす機会とリスク、および重要課題に対処するため各国政府が協力する必要性について、共通理解を確立する世界初の合意に達した。

AIの安全性に関する「ブレッチリー宣言（Bletchley Declaration）」には、EUのほかアフリカ、中東、アジアなど世界28か国が参加し、AIが国際社会の利益に資する安全かつ責任ある方法で開発・導入されることを確実にするための新たな世界的な協力を通じて、潜在的リスクの把握と集団的な管理が緊急に必要であることに合意している。

この宣言を支持している国には、ブラジル、フランス、インド、アイルランド、日本、ケニア、サウジアラビア王国、ナイジェリア、アラブ首長国連邦が含まれる。

この宣言は、特に科学協力の強化を通じて、最先端AIの安全性と研究に関する国際協力のためのリスク、機会、前進プロセスに関する共通の合意と責任を確立するというサミットの主要目的を達成するものである。最先端AIの大手企業と学界・市民社会の専門家との今回の協議では、最先端AIのリスクの把握と安全性の向上についてさらなる議論が行われる予定である。

各国は、最先端AIの意図的な悪用や意図せぬAIによる制御の問題から重大なリスクが生じる可能性があることに合意しており、特にサイバーセキュリティ、バイオテクノロジー、偽情報のリスクによって引き起こされる懸念が挙げられている。この宣言では、「これらのAIモデルの最も重要な機能に起因して、意図的か非意図的かにかかわらず、深刻な、さらには壊滅的な危害が発生する可能性がある」という合意事項が示されている。各国はまた、偏見やプライバシーなど、最先端AI以外のリスクにも言及している。

参加国は、十分に理解されていないリスクと機能について理解を深める必要性を認識し、最先端AIの安全性に関する科学研究ネットワークを支援するために協力することにも同意した。これは、首相が先週発表した、英国が世界初の「AI安全性研究所（AI Safety Institute）」を設立するという発表に基づくもので、G7、OECD、欧州評議会、国連などにおける既存の国際的な取り組みや、「AIグローバル・パートナーシップ（Global Partnership on AI）」を補完するものである。これにより、AI安全性研究所を通じて、この技術のメリットを最大限に引き出す一方、リスクを管理するための根拠基盤を構築するために、最良の科学研究が確実に活用できるようになる。

[DW編集局]