[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
国家自然科学基金委員会(NSFC)
元記事公開日:
2023/11/07
抄訳記事公開日:
2023/12/13

中国・NSFC、「将来の集積回路の新理論と技術の基礎研究」募集要項発表

“未来集成电路新理论与技术基础研究”专项项目申请指南

本文:

中国国家自然科学基金委員会は、11月7日に集積回路に関する特別プロジェクトへの募集要項を発表した。主な内容は以下の通り。

集積回路は情報時代の重要な技術基盤であり、また国の戦略的競争力の象徴でもあり、その重要性は、現代の社会経済発展の基本的役割と国家安全保障を源としている。集積回路は、エネルギー安全保障とカーボンニュートラルにおいて重要な役割を果たすだけでなく、インテリジェントロボットやデジタル中国建設の重要な基盤でもある。集積回路技術の急速な発展は、国の戦略的競争力と国際的地位を高める上で大きな意義を有している。

集積回路技術は、世界的に急速な変化とイノベーションの時期を迎えている。現在、デバイス技術の発展は限界を迎えており、伝統的な設計ツールは低効率であり、さまざまなアーキテクチャが急速に出現している。集積回路は、高度に学際横断的な分野であり、デバイス製造、設計方法とツール、チップアーキテクチャからトップレベルの応用と産業移転に至るまで、さまざまな分野での一体的な発展が求められている。このため、トップレベルの設計を強化し、集積回路の将来のロードマップに焦点を当て、基礎理論の革新や重要技術におけるブレークスルーを基にレイアウト設計を革新し、体系的なレイアウトの進化を推進し、新たな挙国体制の下でのイノベーションモデルを探求し、ミッション志向の体系的な研究を実現することが急務である。

一.科学的目標
未来の集積回路の基礎理論と重要技術の基礎研究を強化し、体系的なレイアウトの進化を推進し、集積回路分野のイノベーション人材と研究チームを育成するため、この特別プロジェクトは、将来の集積回路の新理論と技術の基礎研究に目を向け、新たな科学研究パラダイムと関連する新理論・新技術を探求する。「技術-デバイス-回路-アーキテクチャ-ツール-システム」の産業チェーン全体で、デバイス製造、設計方法とツール、チップアーキテクチャからトップレベルの応用と産業移転に関する重点的な研究や共同研究を通じて、先進的デバイス、集積技術・工程、アナログとハイブリッド回路、回路設計方法、新型コンピューティングアーキテクチャなどにおいて、独創性のあるブレークスルーを実現し、将来の集積回路発展のボトルネックを打破し、我が国の集積回路産業の質の高い発展を推進し、チップ強国建設のための強固な基盤を構築する。

二.資金援助の方向性
集積回路の将来の発展に焦点を合わせ、インテリジェントロボットやデジタル中国の建設など、産業発展に関する国の重要ニーズとボトルネックに目を向け、「技術-デバイス-回路-アーキテクチャツール-システム」の産業チェーン全体の改善から出発し、先進デバイス、集積技術・工程、アナログとハイブリッド回路、回路設計方法、新型コンピューティングアーキテクチャに対して、重点的な資金援助を行う予定である。

(一)CMOS互換性シリコンフォトニクスデバイス、インターフェース、シリコンベース3D集積化技術
大容量のチップ間・オンチップ光インターコネクトなどの新興アプリケーションの核心的フォトエレクトロニクスデバイスのニーズの高まりを考慮して、CMOS互換技術・工程の制約の下での高性能シリコンフォトニクス受動素子と高速大容量光電子入出力インターフェースに関する新たな理論・技術・実現方法を研究する。シリコンベーストランジスタレベルの3D集積構造プリセット、技術・工程の演繹、シミュレーションモデルと標準ユニット、オンチップ集積フォトエレクトロニクスデバイスの高速化、低エネルギー消費、小型化、光電子インターフェースの高ロバスト性多重化・ルーティング、大容量伝送、超広帯域幅密度技術、高密度集積チップ小型化技術を研究する。

(二)シリコンベースミリ波デジタルマルチビームフェーズドアレイチップ技術
広帯域ミリ波高速無線通信のアプリケーションニーズに応えて、デジタルアーキテクチャに基づいたミリ波マルチビームフェーズドアレイ集積回路の理論を研究する。デジタルミリ波フェーズドアレイ集積回路アーキテクチャ、広帯域一体化送受信無線周波フロントエンド回路、再構成可能な高精度、高効率のアナログ―デジタル変換回路、大規模マルチチャネルミリ波フェーズドアレイ集積方法を探求する。ミリ波フェーズドアレイ集積回路が直面している広帯域、高効率、マルチビームなどの課題を突破し、新世代の広帯域、高効率のミリ波無線通信、衛星通信、UAV(無人機)ネットワーキング通信などの重要ニーズをサポートする。

(三)複雑なデジタル回路のためのインテリジェント全自動論理生成方法
広範な応用現場における、異なる性能や機能のデジタル回路の迅速な設計ニーズに対応するため、人工知能に基づくデジタル回路論理の全自動生成の新たな理論、技術、プロセス、ツールを研究する。非形式化機能の記述に目を向けたトップダウンの新プロセス全自動設計の核心理論とキーテクノロジーのブレークスルー、非形式化機能の記述からデジタル論理回路ネットリストまで、インテリジェント全自動生成ツールを実現し、1,000万ゲートクラスの規模を超える複雑な回路ロジックの全自動生成をサポートする。プロセッサを典型的なシーンとして検証を行い、人工知能全自動設計のプロセッサが、Linuxを正確に作動させ、その性能が産業クラスの主流である組み込みプロセッサのレベルに達するようにさせる。

(四)「デバイス-チップ-システム」の全チェーンのための協調設計の理論と方法
チップと電子情報システムの集積規模の拡大、マルチフィジックスの強連成生などの課題に焦点を当て、「デバイス-チップ-システム」の全チェーンにおける協調設計の新原理、手法、実現技術を研究する。材料ゲノム技術に基づく低熱収支のシリコンベースの後工程互換の新たなデバイス技術、新型ストレージ・コンピューティング一体の基礎原理およびデバイス技術、大規模モデル指向の「エッジ-クラウドソフトウェアハードウェア連携」によるインテリジェントシステムの垂直設計と最適化、デバイスからチップ、そしてシステムまでの欠陥・誤差伝播の理論解析モデルと評価技術のブレークスルー、チェーン全体の最適化・協調設計手法によるシステムの低遅延、高エネルギー効率、高ハードウェア利用率を実現する。

(五)身体性知能および脳型知能の大規模モデルのための新型コンピューティングアーキテクチャ
身体性知能および脳型知能が直面する新たな課題に焦点を当て、ヒューマノイドロボットの知覚、計算、制御、統合のための専用プロセッサチップアーキテクチャと脳型知能の設計手法を研究する。インメモリコンピューティングメディア(RRAM/Flash/SRAMなど)、ストレージメディア(DRAM/FeRAM/MRAM/PCM/V-NANDなど)と論理制御コンピューティングチップを統合したハイブリッド超ヘテロジニアスメモリコンピューティングチップの新理論と新チップ技術を研究する。将来に目を向けたハイスループット、高密度ストレージのインメモリ検索の基礎理論、超異種チップおよびオンチップの大規模モデル高効率配置技術におけるブレークスルーを通じて、大規模モデル知能の開発を加速する。

三.資金援助計画
資金援助を計画しているプロジェクトは7つあり、その平均援助額は、プロジェクト当り約300万元(約6,000万円)、総額は約2,000万元(約4億円)である。助成期間は3年で、申請書上の研究期間は、「2024年1月1日~2026年12月31日」とする。

四.申請資格と注意事項
(一)申請資格
1.基礎研究プロジェクトの実施経験者
2.上級専門技術職(職階)を有する者
ポスドク研究員、大学院進学を目指している者、従事する職場を持たない者、所属する単位(機関・企業)が依拠とする単位でない者は、申請できない。

(以下、省略)

[DW編集局]