[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2023/11/20
抄訳記事公開日:
2023/12/20

2023年欧州水素ウィークにおける欧州委員長の基調講演

Keynote speech by President von der Leyen at the European Hydrogen Week 2023, via video message

本文:

(2023年11月20日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

2023年欧州水素ウィークにおけるフォン・デア・ライエン委員長のビデオメッセージによる基調講演の概要は以下のとおり:

最初の水素バスが、欧州の各都市で運行されている。ロッテルダム港では、1,000キロメートル以上にわたる水素ネットワークを構築するための建設工事が始まっている。数週間前、液体水素を動力とする世界初の飛行機がスロベニアの空を飛んだ。水素時代の幕開けである。

この4年間、研究室から工場、工場から市場、ニッチから大規模へと、革新的な水素ソリューションが実現できるよう、3つの主要な施策に取り組んできた。

■水素市場を拡大するための大規模な公共投資

「欧州グリーンディール」は巨額の投資に支えられている。「次世代EU基金(NextGenerationEU)」と「REPowerEU」計画により、EUは水素バレー(hydrogen valleys)、水素列車(hydrogen train)、クリーン製鋼所(clean-steel factories)に投資している。EU全域の約80件の水素プロジェクトに対して170億ユーロを超えるEU国家援助(State Aid)を承認した。そして今週、次のステップに進み、「欧州水素銀行(European Hydrogen Bank)の最初のオークションを開始する。これは欧州からの8億ユーロの資金によって支援されている。さらに重要なことは、これが民間部門の資金を呼び込み、商業的なオフテイク契約につながることである。

欧州水素銀行の次のステップとして、024年春、総額30億ユーロに達する第2回オークションを開始する予定である。並行して、欧州水素銀行の国際的な取り組みも進めている。これにより、海外の多様な信頼できる供給業者からのグリーン水素の輸入が確保されることになる。

■水素の世界市場を構築するための国際協力

EUはすでに、エジプト、ケニア、ナミビアからラテンアメリカ諸国といった国々と水素パートナーシップを締結している。これらの国々は、クリーンエネルギーを生産し、それをクリーン水素に変換して、世界に出荷する計り知れない潜在力を持っている。カザフスタン、オーストラリア、オマーンとは、新たな刺激的取り組みが議論される。

ブラジルとは、ブラジルのピアウイ州での世界最大級の水素プロジェクトの建設に対するEUの支援を発表する。これは、「グローバル・ゲートウェイ」の一環で、ブラジルの水素バリューチェーンに20億ユーロを投資するものである。新たに建設される「グリーン・エネルギー・パーク(Green Energy Park)」は、クロアチアのクルク島に輸送されるクリーンな水素とアンモニアの10GWの生産施設となる。そこから、水素は南東欧の産業のオフテイカー(引き取り手)に供給される。同時に、このプロジェクトはブラジルで地元の雇用とバリューチェーンの創出に貢献する。

■イノベーション促進のための民間部門との新たなパートナーシップ

発明者や投資家がクリーン移行を推進できるように、明確なルールとインセンティブを提供するために、各産業エコシステムとの一連のクリーン移行に関する対話(Clean Transition Dialogue)を開始したところである。そして、最初の対話が水素産業界と行われたことは当然のことであった。先月、欧州の水素部門の次の段階を計画するべく、多くの関係者と話し合いを持った。今後もこの対話を続けなければならない。

今年末までに、加盟国が各国の水素に関する取り組みをどのように実施する計画であるかを調査する。各加盟国における2030年に向けた明確なロードマップを提供するためである。

また、公的資金へのアクセスも容易にする。欧州水素銀行の下にワンストップ・ショップを設置し、水素プロジェクトの推進者にEUの資金提供を紹介する。上記の対話では、生産者と消費者がお互いを見つけやすくするよう支援する方法についても議論した。クリーンな水素の需要と供給を結びつけるためである。

[DW編集局]