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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 科学・イノベーション・技術省(DSIT)
- 元記事公開日:
- 2023/11/21
- 抄訳記事公開日:
- 2024/01/11
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大学発スピンアウト企業に関するインディペンデント・レビューと政府対応
- 本文:
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(2023年11月21日付、科学・イノベーション・技術省(DSIT)の標記発表の概要は以下のとおり)
アイリーン・トレーシー教授(オックスフォード大学副学長)とアンドリュー・ウィリアムソン博士(Cambridge Innovation Capital社の業務執行役員)による、大学のスピンアウト企業に関するインディペンデント・レビューとそれに対する政府の対応が示された。政府は報告書の提言をすべて受け入れている。ここでは政府対応を記述した文書から、抜粋要約して以下に記す。
政府は関係機関と協力して以下の措置を講じる:
1.スピンアウト・プロセス
政府は大学と協力して、この業種での取引条件、データ、透明性の改善を図る。これには、レビューで提案された政策をどの大学が実施したかに関する報告、スピンアウト企業のデータベースの作成、取引条件書の雛形など、さまざまな業種向けの取引条件の指針一式の作成に向けた支援が含まれる。これにより、スピンアウトによる投資を妨げない環境での取引がより迅速に行われるようになる。
2.大学による技術移転と概念実証研究への資金支援
新規の分野横断的な概念実証研究プログラムに2,000万ポンドを拠出する。リサーチ・イングランド(Research England)は、「高等教育イノベーション基金(HEIF)」を見直し、大学の市場化機能が、確実に適切な資金と動機付けを措置されるようにする。大学向けに共同技術移転機能のパイロット・プログラムを設置する。これによって、スピンアウト創出を促進する事により大学が不利な立場に陥ることがなくなり、研究資金不足のために時期尚早に企業がスピンアウトしないことを示唆する。
3.スピンアウト企業を存続可能なベンチャーに育て上げる
政府は、創業者が利用できる支援サービスをマッピングして公開し、ギャップを埋めたり支援を改善したりするための提案を開発する。英国研究・イノベーション機構(UKRI)は、資金支援するすべての博士課程の学生に、質の高い起業研修に参加する選択肢を与え、地域のスピンアウト企業、ベンチャー・キャピタル企業、技術移転機関でのインターンシップに参加する機会を増やす。これにより支援の質を向上させ、創業者が適切なタイミングで適切な支援を受けられるようにし、次世代の創業者の育成に寄与する。
4.株式投資と投資家の役割
政府は、Long-term Investment for Technology and Science(LIFTS)制度を通じた資金支援、英国ビジネス銀行(British Business Bank:BBB)内での新たな成長基金(Growth Fund)の設立、新世代のBBB Nations and Regions Investment Fundsの実現、30億ポンドの資金による「英国寛容融資(British Patient Capital)」の2033~34年度までの延長などの取り組みを継続する。政府はまた、資本市場の改善などマンション・ハウス改革(Mansion House reforms)を継続する。これにより、英国全土の研究開発集約型の新興企業で、起業や規模拡大のための投資獲得能力が向上し、英国の優れた研究開発クラスターの発展と成長に貢献する。
5.学術界とスピンアウトの間の間隙
英国の研究、開発、イノベーションの状況をよりオープンでナビゲートしやすいものにするという目標を支援するべく、政府はUKRIおよび王立協会(Royal Society)、英国学士院(British Academy)、王立工学アカデミー(Royal Academy of Engineering)、医学アカデミー(Academy of Medical Sciences)と協力して、「学術復職者(academic returner)」フェローも含め、市場化のためのフェローシップの提供機会を改善する。これにより、学術界と産業界の間の移動が容易になり、創設者となる学者のキャリア機会も広がる。
[DW編集局]