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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領府科学技術政策局(OSTP)
- 元記事公開日:
- 2023/12/02
- 抄訳記事公開日:
- 2024/01/15
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新時代の核融合エネルギー開発の国際連携
International Partnerships in a New Era of Fusion Energy Development
- 本文:
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(2023年12月2日付、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)の標記発表の概要は以下のとおり)
バイデン大統領は、国内外の気候危機に対処するために重要な行動を起こしている。米国は、核融合エネルギーを含む次世代クリーンエネルギー技術のブレークスルーを加速させるため、市場原理、包摂的技術革新、投資を活用する国内外の取り組みを拡大している。これらの技術は、炭素削減目標の達成、エネルギーの安全保障と強靭性確保、経済発展の推進に役立つ。
国際的な核融合研究開発コミュニティは、60年以上にわたり、強力な協力関係の下、核融合の科学と技術を進歩させてきた。核融合エネルギーが持続可能なクリーンエネルギーの供給源としての可能性を発揮し、10億人以上の人々をエネルギー貧困から救い出すには、国際協力が不可欠である。2022年3月、米国は「商業用核融合エネルギーへの大胆な十年規模ビジョン(Bold Decadal Vision for Commercial Fusion Energy)」を発表し、核融合エネルギーの技術的完成度の向上と市場の強い関心を認識するとともに、核融合エネルギーの開発を加速するための新たな国際協力を模索する方針を盛り込んだ。世界の核融合企業への民間投資は、すでに60億ドルに達している。核融合に対して民間からの投資が増加し商業化への関心が高まる中、研究上の課題を解決し、国際的なサプライチェーンと人材を開発するための世界的な連携が求められている。研究開発を継続し、実証と商業化に向けて前進する中で、強力な知的財産権の保護と執行とともに、開かれた科学研究が不可欠な新時代を迎えている。
米国は、国際的な連携とパートナーシップを呼びかける以下の5つの包括的目標を掲げている。
1.核融合の研究開発に関する国際協力、重要施設の共同利用、共同開発の実現
米国は、既存の二国間パートナーシップや多国間プロジェクトを基盤とし、核融合商業化の加速、共同イノベーションの促進、公平な利益分配を行うための新たな協力の機会を模索するとともに、残された研究課題解決のために国際的パートナーと協力する。2.国際市場の成長促進
核融合が世界的なクリーンエネルギー源となりえるかは、数十年にわたる研究開発への投資を商業技術として展開できるかにかかっている。米国は、国際的パートナーと協力し、さまざまな状況における核融合の市場参入を促進する。3. 核融合エネルギーの安全な環境を創出するための規制枠組み
核融合の世界的な商業化の実現には、企業による核融合技術と燃料補給の海外提供が必要となる。各国が、安全、保障、核不拡散の最高基準に合致する国内の核融合規制の枠組みを策定する際に、国際的な調整は有益であり、米国は、規制の枠組みと政策の実施に関する早期の国際協調を促進する。4.多様で国際的な人材育成
核融合エネルギーの商業化を加速するには、多様な核融合技術人材の育成と、その導入を望む国への国際的な人材の移動の拡大が必要である。米国は、そうした人材関連のニーズについて世界のパートナーと協力する。5.核融合エネルギーに関する公教育と関与の改善
まだ開発段階にある複雑な技術である核融合がその開発・実証・展開に対する国民の理解と信頼、そしてソーシャルライセンスを獲得するためには、積極的なパブリックエンゲージメントが不可欠である。米国は、パブリックエンゲージメント活動や、核融合エネルギーの利益とリスクを議論するためのベストプラクティスの共有などにおいて、パートナー国と協力する。 [DW編集局]