[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国研究・イノベーション機構(UKRI)
元記事公開日:
2023/12/13
抄訳記事公開日:
2024/01/17

UKRIインフラ基金、次世代重力波検出器 を支援

UKRI Infrastructure Fund supports next-gen gravitational wave detectors

本文:

(2023年12月13日付、英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記発表の概要は以下のとおり)

UKRI基盤構造基金の支援を受けている英国の7大学が、重力波研究を推進するための新たなコンソーシアムを立ち上げた。グラスゴー大学が主導するこのコンソーシアムは、今後の2つの国際重力波検出器開発プログラムで使用する新たなハードウェアとデータ分析技術の設計開発を行う。総額700万ポンドの支援により、天文学者による宇宙の最果ての探査を支援する上で、英国の大学や研究者が重要な役割を果たすことが保証される。

■ 時空の波紋

重力波検出器は、長いパイプの両端に吊り下げられたミラーの間でレーザーを反射させることによって機能する。重力波は、ブラックホールの衝突などの巨大な天文現象によって引き起こされる時空のかすかな波紋である。それらが検出器を通過すると、レーザーによって測定されるミラー間の距離にわずかな変動が生じる。重力波が通過する間に捕捉したデータを分析することで、宇宙における重力波の発生源に関する豊富な情報を得ることができる。

■ 将来展望

英国の科学者らは、科学技術施設会議(STFC)の支援を受けて、数十年にわたって重力波の研究に取り組んできた。これらは、以下の現世代の重力波観測施設に大きく貢献した。

・米国のレーザー干渉計重力波観測施設(LIGO)
・イタリアのVirgoプロジェクト
・日本のKAGRA(神岡重力波望遠鏡)

LIGO観測所は2015年に史上初となる重力波の検出を行い、天文学の新分野を切り開いた。今回の最新の投資は、今後3年間にわたって英国の科学者を支援し、2つの主要重力波観測プロジェクト、米国の「コズミック・エクスプローラ(Cosmic Explorer)」、および欧州の「アインシュタイン望遠鏡(Einstein Telescope)」に貢献することになる。これらは現在、設計作業の初期段階にあり、今後10年以内に完成され、オンライン化される予定である。

■ 限界を超える

計画されている次世代検出器を支える国際共同研究は、新たな観測所が宇宙の果てからの信号を検出するのに十分な感度を持つと期待している。検出器の感度の向上は、宇宙誕生の初期にブラックホールが形成された過程、中性子星の中での物質の振る舞い、現在の観測所が検出できない重力波の検出について、新たな光を当てることになる。

[DW編集局]