[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2023/12/06
抄訳記事公開日:
2024/01/18

猛暑・干ばつ  の早期到来

Europa im Hitzestress

本文:

(2023年12月6日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)

今世紀末の典型的な気候になると思われる猛暑と干ばつは、欧州では今後数十年のうちに、たとえ短い期間であっても発生する可能性がある。これはMPG気候研究所による研究の結論である。研究チームの計算によれば、今世紀末に気候変動がもたらす猛暑と干ばつの発生確率は、北大西洋の自然現象によって早まることが明らかとなった。

研究チームの気候シミュレーションによれば、20年前には起こりえないとされていた、典型的な温暖化による猛暑と干ばつが、今後20年の間に1/10の確率で発生するという。2050年までの間に、2年連続で極端な猛暑が発生する確率も10%ある。さらに今世紀末までに欧州で5年間の干ばつが発生する可能性もある。MPG気候研究所のミュラー(Wolfgang Müller)氏とマロツケ(Jochem Marotzke)氏の二人が参加したこの研究は、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Z)のスアレス-グティエレス(Laura Suarez-Gutierrez)氏が主導して行われ、学術誌Nature communications earth & Environmentに掲載された。

シミュレーションによれば、2040年代の日中の最高温度と夜間の気温は、最良の場合には、欧州で過去最も暖かった2010~2019年の記録の範囲内に収まる。しかし最悪の場合には、猛暑と干ばつの頻度と深刻さは、今世紀末に予想されている状況をはるかに上回る。

スアレス-グティエレス氏らのチームは、地球システムモデル「MPIグランドアンサンブル(MPI Grand Ensemble)」の数百ものシミュレーションにより、北大西洋の数十年規模の変動の影響を算出した。現象は予測が容易であったことから、北半球の緯度内で気候が変動することがわかった。研究者達は、現在では、人為的な地球温暖化に加えて、この自然の気候変動も考慮するようにしている。チームによれば、この気候変動のみによって今世紀末までに生じる可能性のある暑さと干ばつの影響は、今後数十年間で増大するという結論となった。この研究が示すのは、今世紀末の状況が今後数十年で起る可能性が出てきたということである。

[DW編集局]