[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2023/12/15
抄訳記事公開日:
2024/01/23

欧州保健連合、保健衛生上の脅威への備え

Reports confirm the European Health Union is better prepared to combat health threats

本文:

(2023年12月15日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

最近のユーロバロメーター調査によると、保健衛生は欧州市民の最優先事項の一つとなっている。このほど発表された2つの報告書は、EUが、潜在的な危機に対してより適切に備えるため、強靭で、強固で公平な保健システムの必要性と需要にどのように対処してきたかを示している。両報告書はまた、さらなる取り組みが必要な領域にも注目している。

2023年度保健準備状況に関する報告書(2023 State of Health Preparedness report)は、国境を越えた深刻な保健衛生上の脅威に対処する能力を向上させるためにEUによる措置に焦点を当てている。

EUにおける保健の現状:総合報告書(Synthesis report)2023年版では、欧州市民のニーズを満たすためEU全体の保健システムがどのように機能しているかを調査している。これには国別の保健
プロファイルが含まれている。

◼ より適切に備える欧州保健連合

保健準備状況年次報告書の目的は、パンデミック以降、国境を越えた保健衛生上の脅威に対処するためにEUが講じた施策を総括することである。約1年前から施行されている「保健衛生に対する国境を越えた深刻な脅威に関する規制(Regulation on serious cross-border threats to health)」は、EUの保健安全保障体制の根幹を支えるものである。これにより、国境を越えた保健リスクに対するより効果的な備えと協調した対応のための強固な基盤が構築されている。

EU保健安全委員会(EU Health Security Committee)などの組織やEUの検査機関の能力が強化され、EU4Healthプログラムから約1億ユーロの資金が、各国の監視システムの改善のために提供されている。

今回の報告書は、ワクチン接種が引き続き感染症の蔓延を防ぐ鍵であると指摘している。

差し迫った保健衛生上の脅威に関して、準備状況報告書は薬剤耐性(AMR)の問題を取り上げている。また、動物由来感染症の脅威と気候変動による健康への影響の増大も、大きな課題であり、現在および将来の保健衛生上の脅威に対処するために{ワンヘルス(One Health)}アプローチをとることの重要性を強調している。

EUは、パンデミックの予防、備え、対応に関する国際協定、「パンデミック協定(Pandemic Agreement)」の採択に向けた交渉に引き続き積極的に参加している。

◼ EUのメンタルヘルスの改善に対する強力な取り組み

報告書は、29か国の保健プロファイルが添付されており、EU全体の保健システムがどのように機能しているかを調査し、新型コロナウイルス感染症のパンデミック後に取り組むべき3つの重要事項を強調している。

・パンデミック後のEU市民のメンタルヘルス悪化
欧州委員会は2023年6月、12億3,000万ユーロの資金支援の下、20の主要施策からなるメンタルヘルスに対する包括的なアプローチを採択した。
・EU全体で拡大する保健格差に対処する必要性とアンメット・メディカル・ニーズの増大
・保健衛生への継続的な投資(欧州保健データ・スペースなど)

[DW編集局]