[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2023/12/19
抄訳記事公開日:
2024/01/29

欧州防衛基金:37件の新規防衛研究開発プロジェクトを開始

European Defence Fund: start of 37 new defence R&D projects

本文:

(2023年12月19日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

欧州委員会はこのほど、EU全域の37件の欧州防衛基金(EDF)2022年共同防衛研究開発プロジェクトとの助成契約(Grant Agreement)の署名を完了した。また、委員会は、欧州防衛機関(EDA)および統合軍備協力機構(OCCAR)との間で、2022年公募による4件の戦略的防衛プロジェクトの実施を委任するための負担協定(Contribution Agreement)に署名した。41件のプロジェクトは、EDFによる2022年の提案公募によるものであり、助成額は8億3,200万ユーロにのぼる。

契約は、EUの戦略的自律性と欧州の防衛関連技術・産業の基盤強化に対するEDFの貢献を再確認するものである。新規プロジェクトの内容は、EUの防衛産業が広範に関与していることを裏付けている。37件のプロジェクトに関わるコンソーシアムには、 加盟26か国とノルウェーから486のユニークな団体が参加している。EDFのこの第2次公募では、欧州の中小企業が全企業の37%を占めている。新規プロジェクトは、大企業、中小企業、中堅企業、研究技術組織を含むコンソーシアムによって実施され、EDF2022のすべての公募テーマをカバーしている。

これらのプロジェクトは、陸海空軍戦、宇宙ベースの早期警戒、サイバーなどの重要分野におけるEUのハイエンド防衛能力の拡大に資するものである。たとえば、海軍分野では、EUROGUARDプロジェクトにより、沿岸地域でさまざまな自律運用が可能な艦船が建造される。航空分野では、REACT II プロジェクトにより電子戦の強靭性と管理が向上する。宇宙分野では、ODIN’S EYE II により、宇宙ベースのミサイル早期警戒の進歩に基づき、EU加盟14か国とノルウェーの産業界を結集し、この分野における欧州の能力を向上させる。EDFはまた、サイバー・情報戦争の分野における最先端の能力の開発共通のアーキテクチャと環境を備えたサイバー物理テストのための共通のツールボックスの開発、統合されたサイバー状況認識プラットフォームの設計、という3件のプロジェクトにより、サイバー防衛に直接貢献する。

プロジェクトの多くは、付加製造、陸上部隊保護のための適応迷彩、EU初の静音極超音速風洞、電磁砲の重要部品など、防衛のための破壊的技術を対象としている。電磁砲は、他の防御装備を補完すると期待されており、さまざまな海軍プラットフォームや陸上防空システムに適応できる可能性がある。

この助成方式は、民間と防衛の間の研究開発の相乗効果を強化するために実施される。

[DW編集局]