[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2024/01/11
抄訳記事公開日:
2024/02/22

EUのエネルギー自律支援研究・イノベーション・プロジェクトに1億7,200万ユーロを投資

Commission invests €172 million in research and innovation projects to support EU energy independence through Horizon Europe

本文:

(2024年1月11日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

欧州委員会は、EUのエネルギー自律に直接貢献する13件の研究・イノベーション・プロジェクトに、1億7,200万ユーロの資金提供を行った。これらのプロジェクトは、ロシアの化石燃料の輸入を段階的に停止し、欧州のための安価で安全かつ持続可能なエネルギーを支援するというREPowerEUの目標に焦点を当てたものである。

13件のプロジェクトは、Horizon Europeのクラスター5(気候、エネルギー、モビリティ)の下、2023年3月~4月に行われた公募で選ばれたもので、①持続可能で安全かつ競争力のあるエネルギー供給、②効率的で持続可能かつ包括的なエネルギー利用、③あらゆる輸送モードに対応したクリーンで競争力のあるソリューション、という3つの包括的な目標をカバーしている。

プロジェクトの概要

▽欧州のグリーン移行を加速し、エネルギー安全保障を強化する「再生可能エネルギー・バレー(Renewable Energy Valleys)」(2件のプロジェクトに3,950万ユーロ):
「再生可能エネルギー・バレー」とは、地域のエネルギー供給の安全性と自律性の強化に役立つ分散型再生可能エネルギー・システムのことである。2件のプロジェクトは、ギリシャとオランダに拠点を置き、他のEU加盟14か国の支援も受け、全体として個々の市民にとってより低く安定したコストを確保しつつ、地域のエネルギー供給とニーズを如何に最適に調整させるかを実証するものである。

▽REPowerEUを支援し、EUの電力システムの管理、運用、レジリエンスを向上させるデジタルツインの開発(1件のプロジェクトに2,000万ユーロ):
電力網のデジタルツインは、ネットワーク・オペレータと市場関係者が十分な情報に基づいた意思決定を支援するデジタル・ソリューションである。これは、電力システムの効率性とレジリエンスを高め、再生可能エネルギーをより高い割合で統合できるようにするための重要なツールであり、REPowerEUの目的達成には不可欠である。EU加盟15か国の受益者が協力してこのプロジェクトを実施する。

▽脱炭素化と安定供給のための革新的で大規模な夏期・冬期の貯熱・貯冷技術(3件のプロジェクトに2,900万ユーロ):
3件のプロジェクトは、20のEU加盟国・関連国によって実施され、最先端の貯熱・貯冷技術の実証試験を行う。大規模ソリューションは、地域レベルの冷暖房エネルギー貯蔵に組み込まれるだけではなく、産業プロセスの熱需要にも貢献することが期待される。

▽エネルギー効率化と電化を通じた、費用対効果の高い建物の脱炭素化(2件のプロジェクに2,450万ユーロ):
REPowerEUの「欧州の電化(Electrify Europe)」方針に沿って、建物の熱エネルギー需要を電化するための革新的・統合的ソリューション(ヒートポンプなど)を開発・実証する。プロジェクトには、17のEU加盟国・関連国が参加しており、欧州全域で展開可能で、建物の熱エネルギー需要を電化する費用対効果の高いソリューションの数を増やし、建物1戸当たりのコストを大幅に削減することになる。

▽水素動力航空機(2件のプロジェクトに2,250万ユーロ):
水素動力による民間航空機は、航空輸送の地上インフラにおける液体水素の適切な地上給油・供給システムが2035年までにEUに整備されて初めて実現可能となる。さらに、燃料電池と熱推力(thermal propulsion)の組み合わせは、2035年以降、CO2だけでなく非CO2ガスの排出量も削減する画期的な技術である。10のEU加盟国・関連国の受益者がプロジェクトを実施し、この目標に向けて取り組み、水素を動力とする飛行機の本格的な運航を促進する。

▽水上輸送における持続可能で気候中立な新燃料の安全な使用の実証(3件のプロジェクトに3,650万ユーロ):
水上輸送部門を最終的に脱炭素化するには、持続可能で気候中立な燃料の大規模な普及を促進することが重要である。これには、燃料の輸送、補給、貯蔵、電力への変換などの側面も含まれる。15のEU加盟国・関連国のパートナーによって実施される。

[DW編集局]