[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2023/12/20
抄訳記事公開日:
2024/03/13

バイオ経済イニシアチブのためのデータに関するビジョン・ニーズ・行動計画

Vision, Needs, and Proposed Actions for Data for the Bioeconomy Initiative

本文:

(2023年12月20日付、国家科学技術会議(NSTC)の標記発表の概要は以下のとおり)

大統領府の要請に基づき、NSTCが標記をタイトルとする報告書を作成した。2022年9月にバイデン大統領は「持続可能で安全・安心なバイオ経済のためのバイオテクノロジーとバイオ製造のイノベーションの促進に関する大統領令」に署名したが、その目標は、バイオテクノロジーとバイオ製造を、健康、気候変動、エネルギー、食料安全保障、農業、サプライチェーンのレジリエンス、国家と経済の安全保障における革新的な解決策に向けて前進させることであった。この目標達成には、高品質で広範囲な、容易にアクセス可能で安全な生物学的データセットが必要である。
当該の大統領令により国家バイオテクノロジー・バイオ製造イニシアチブ(National Biotechnology and Biomanufacturing Initiative)の一部として「バイオ経済データ・イニシアチブ(Data Initiative)」が開始されたが、本報告書はその基盤を提供するものである。本報告書は、既存の連邦のデータインフラ、データギャップ、データ・計算インフラのニーズについて述べ、 データ・イニシアチブの基盤となる強固なデータインフラの構築・維持に必要な戦略的投資の重要性を強調している。また、健康、農業、環境、バイオ製造など、バイオ経済の各分野にわたって変革的な成果をもたらすためのビジョンを概説している。

連邦政府は、膨大な量のデータを生成し、バイオ経済を支える技術開発に必要な既存のデータインフラや計算資源に依存する研究者らのコミュニティを支援しているが、これ以外にも、多様で急速に進化するデータソースを現代化し、よりよく統合する機会が残されている。現在、既存の連邦政府のデータインフラを支えるメカニズムの多くは、長期的な継続性や検索性、データ保存需要の増加、急速に進化するデータ型や計算能力に対応する俊敏性などを考慮して設計されていない。
このため、データ・イニシアチブは既存の資源を活用・構築に向けた戦略的投資と機会を特定する。そして、データを分析し、合成し、より多くの利用者のために必要なインフラや計算資源とデータを結びつけるデータファブリックを作ることを目標とする。このビジョンは、相互運用性と統合を可能にするためのデータとリポジトリの両方に関するコミュニティ主導の標準の策定と採用、将来のバイオ経済データ人材の教育訓練、セキュリティリスクを低減する取り組み、データサイエンス、コンピューティング、バイオテクノロジー、バイオ製造における変革に歩調を合わせた努力を確実にするための継続的な調整に依存する。さらなるデータが必要である一方で、既存および今後のデータを最大限に活用するために、政府による調整とインフラへの投資も必要である。

データ・イニシアチブには、以下の7つの主要行動における政府全体の一貫した調整と投資が求められる。

① データ、計算資源、インフラのための長期的な資金調達メカニズム
② 共通のベストプラクティスを確立しバイオ経済のデータエコシステムを育成・強化するための標準化
③ 現存するデータとメタデータを特定するためのバイオデータカタログ
④ データ・ランドスケープを保護するためのセキュリティープラクティスとポリシー
⑤ 将来のバイオ経済における米国のリーダーシップを推進するための人材
⑥ 実行可能性と影響を判断し、より大規模な投資の道筋を描くための、迅速な変容に向けた戦略的重点分野の策定
⑦ 政府間の投資、政策、資源の調整

[DW編集局]