[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ工学アカデミー(acatech)
元記事公開日:
2024/02/01
抄訳記事公開日:
2024/03/18

バイオテクノロジーの有効活用

Lost in Translation: Wie Deutschland die Potenziale der Biotechnologie entfesseln kann

本文:

(2024年2月1日付、ドイツ工学アカデミー(acatech)の標記発表の概要は以下のとおり)

21世紀の重要技術であるバイオテクノロジーは、ドイツの研究開発環境から生まれる優れたアイデアをうまく産業に変換できれば、現在の社会的課題の解決やドイツの競争力強化に大きく貢献することができる。acatechの調査・分析報告書 IMPULS、「Lost in Translation-バイオテクノロジーの社会的・経済的可能性を引き出すアプローチ」は、将来この技術をより有効に活用するための変換方法を示している。

医療、産業、農業のバイオテクノロジーの進歩は、新たなソリューションにつながる応用例を多数生み出している。Covid-19流行時の迅速なワクチン開発はその最新の例である。しかしドイツでは、革新的なバイオテクノロジー・プロセスを、市場投入可能な形に変換できていないことも多い。これを解決するには、資本のボトルネック、長期にわたる知的財産交渉、厳格な規制などを改善し、イノベーションを促進する環境を整備する必要がある。

同書は、2023年7月の連邦首相の未来会議での提案に基づき、バイオテクノロジーにおける既存のイノベーション政策をより有効に活用するための選択肢を示している。ドイツの国際競争力を維持するには、政治とバイオテクノロジー産業のトップレベルの対話の確立に加えて、野心的なバイオテクノロジー戦略が必要である。

連邦政府の国家医薬品戦略(Pharmastrategie der Bundesregierung)は、そうした広範なバイオテクノロジー戦略の重要な第一歩である。特に、安全性と品質レベルを低下させることなく、規制上のハードルを下げる提言は、すでにここに組み込まれている。

その一方で、植物育種における新たなゲノム技術の取り扱いに関する欧州委員会の規制案をめぐる議論が続いていることは、枠組み条件を適応させるという新たな政治的意思に加えて、バイオテクノロジー・プロセスについて、まだ検討の余地があることを示している。政治的・社会的議論において、一方では現実的なリスク、他方では使用しない場合の機会損失について、常に事実に基づいて互いに比較検討されるべきである。そうすることで、バイオテクノロジーの応用の全領域において、ドイツの革新力・強靱性・主権を強化するための正しい政治的方向性を速やかに設定することができる。

[DW編集局]