[本文]
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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 高等教育・研究省(MESR)
- 元記事公開日:
- 2024/02/07
- 抄訳記事公開日:
- 2024/03/18
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外骨格スーツの研究が大きく前進
- 本文:
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(2024年2月7日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は以下のとおり)
ロボティクスの研究には、社会的な課題、特に健康面での課題に対応するため、緻密で革新的な技術の開発が必要である。外骨格スーツは、人体に適応し、障害やスポーツリハビリテーションに関わる医療に革命を起こすため長年にわたり進化してきた。
外骨格スーツは、ロボティクスで人体の骨に例えられる機械的な関節構造を指し、全身、上肢、下肢、手などに装着して、麻痺した機能の補完、アスリートや怪我をした人のリハビリ支援、運搬作業時の負担軽減などに役立つ。
外骨格スーツは、筋肉に相当し、電気モーターによって制御されるアクチュエータを備えている。アクチュエータは、外骨格を動かしたり、バランスを取ったりして、運搬時の負荷を補助し、目的とする行動に応じて力を調整する。外骨格スーツまたは人体に付けられたセンサーが、速度、位置、加速度、回転に関するデータを収集し、ラップトップPCでアクチュエータを制御する。
原子力・代替エネルギー庁(CEA)では、健康やスポーツの分野における課題を解決するために、ロボティクスやコボティクス(協働ロボット、つまり人間とロボットのインタラクション)に取り組んでいる。
外骨格スーツは当初、肉体労働などを行う人々を支援するために開発されたが、現在ではアスリートのリハビリ支援にも使用されている。CEAは、アスリートがそれぞれの競技で一般的に行われるトレーニングを通してリハビリを行うことを支援している。協働ロボット技術は、2024年のオリンピック・パラリンピックの準備にも役立っている。
CEAは、アクチュエータプロセスであるワイヤーロープジャッキという画期的な発明を行い、特許を取得した。これは、アクチュエータの摩擦と慣性を低減し、抵抗力を下げ、エネルギー消費量を抑え、モーターの力が増幅させる技術である。
また、WIMAGINE®と呼ばれる技術は、脳の表面に埋め込まれた脳インプラントが、脳内で発せられる電気信号を検出し、人工知能によってリアルタイムで神経信号を発信する技術である。収集された情報は、デジタル制御信号に変換され、外骨格や脊髄、筋肉刺激システムの制御に使用される。
WIMAGINE®は 2つの世界初を成し遂げている。2019年には、四肢麻痺の人が脳の活動を利用して外骨格スーツを制御できるようになり、2023年には、下半身麻痺の人がこの技術と脊髄刺激装置の組み合わせによって、自然な歩行ができるようになった。このイノベーションは、「アクセシビリティ&エイジング・テック(accessibility & Aging tech)」部門で、CES 2024 イノベーションアワード®を受賞した。
「優先研究プログラム(PEPR)」の探索的プロジェクトの一つ、「O2R」では、「オーガニックロボティクス」の研究が、国立科学研究センター(CNRS)、CEA、国立情報科学・自動化研究所(INRIA)の主導で進められている。これは、8年間3,400万ユーロの予算で、2024年3月11日に立ち上げられたもので、ロボットと人間のインタラクションをスムースにし、原理、動作、用途などにおいて社会的に適合し、複雑な社会的課題に対応可能なロボティクスを実現することを目的としている。
[DW編集局]