[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
フランス投資銀行(Bpifrance)
元記事公開日:
2024/02/08
抄訳記事公開日:
2024/03/19

AIを活用した中小・中堅企業の支援

Comment accompagner les TPE et PME dans l'utilisation des IA ?

本文:

(2024年2月8日付、フランス公共投資銀行(Bpifrance)の標記発表の概要は以下のとおり)

人工知能(AI)を用いたチャットボット技術のパイオニアである起業家カティア・レネ(Katya Lainé)氏は、デジタル技術による中小・中堅企業の業績向上に取り組んでいる。

コミュケーションの速度が落ちたりその窓口が徐々になくなっていったりすると、担当スタッフに過剰な負担がかかることになる。つまりデジタル化が進むなかにあっても、迅速な顧客対応とその対応のカスタマイズは、依然として大きな意味を持っている。そのような状況を踏まえ、レネ氏は8年前、AIのパイオニアとして音声と言語を活用した独自のソリューションであるTALKR.aiを編み出した。

■未来のやりとりをスクリーンフリーに

同氏が開発したソリューションにおいて言語は、重要な位置を占めている。多くのウェブサイトは、双方向性に欠けており、企業にとって顧客と連絡し、顧客を知る媒体としてのみ、ショーケースの役割を果たしていることがよくある。このことから2016年にAI技術によるチャットボットが初めて誕生したが、問題は、顧客などと自動的にやり取りできる効果的なセルフケアシステムを企業に提供することであった。以来、音声のみの顧客応対実験「スクリーンレス」という挑戦が功を奏している。

TALKR.ai が開発したアシスタントは、問い合わせの35%から80%を自動で解決できるようになり、ロボットは、様々な履歴への自動アクセスやマーケティング目的の有用なデータの保存もできる。チャットボットによるAI革命は、高品質のデータ革命でもあり、企業に対して価値をもたらすものである。

■起業家としてエコシステムで一人前のプレーヤーになることが重要

レネ氏は、現在、ビジネスリーダーとしての役割に加えて、AIの促進と展開に取り組んでいる。2018年からNUMEUM(デジタル企業組合)に選出され、零細企業等あらゆる規模の企業がデジタル化に取り組むために戦っている。特に「倫理的AI」の実践ガイドの推奨者である。課題は、企業におけるAIの使用を確実にすることで、感度の高いリアクションを促すことである。また、米国、カナダなど29カ国以上が参加し、世界的なAIの導入促進を目的とした国際イニシアチブである「AIグローバル・パートナーシップ(Global Partnership on AI:GPAI)」の専門家でもある。

■AIをやるためのAIはやらない

AIとチャットボットのエコシステムは、チャットGPTの発表と大規模な利用により、2022年末に激変した。OpenAIは、自動テキスト生成ツールにより、企業にとってはビジネスにおいてAIを利活用する可能性が広がった。しかしこれらの可能性は、まだ法律的にも環境的にも制約を受けており、レネ氏は「AIの社会的・生態学的責任という観点からは、『小さなモデル』の有効性について考え直す機会となっている」と言う。一般的に起業家は、即効性と安全性に配慮しつつ、企業が簡単に採用できるソリューションを作成することに集中している。一方でTALKR.ai では、中小から大規模までのあらゆる企業のニーズに適合したソリューションを構築し、進化させることができる「ノーコード」ソリューションを開発することを選択している。これは、AI革命が単に技術の問題であるのみならず、人間に合わせるべき問題だという証である。これらのツールを、それぞれの職業に求められるニーズに適合させていく必要があるといえるだろう。

[DW編集局]