[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究省(MESR)
元記事公開日:
2024/02/12
抄訳記事公開日:
2024/03/26

優先研究プログラム「SAMS」、健康的で持続可能な食品のために

Le PEPR SAMS, pour une alimentation saine et durable

本文:

(2024年2月12日付、高等教育・研究省(MESR)の標記発表の概要は以下のとおり)

政府の5か年投融資計画「フランス2030」の資金提供を受けたSAMS研究プログラムは、すべての人の健康を維持する食品に資するため、環境に配慮しながら農業生産の課題に取り組んでいる。

■食料システム、マイクロバイオームおよび健康(SAMS)

2021年に発表され、国立保健医学研究所(INSERM)と国立農学・食料・環境研究所(INRAE)に委任された優先研究プログラム「SAMS」は、このたび正式に発足し、明日の食を見据え、公共政策や食品産業に貢献するものである。

SAMSには「マイクロバイオームと健康」と「持続可能な消費と食料システム」の2つの柱がある。

「フランス2030」の一環として7年間で合計5,800万ユーロが投じられ、「マイクロバイオームと健康」には4,900万ユーロ、「持続可能な消費と食料システム」には900万ユーロが充てられる。

■マイクロバイオームと健康

マイクロバイオームは、バクテリアや真菌などの微生物が生息する場を指す。人間の腸など同じ場所に共生する場合、それは微生物叢(マイクロバイオータ)または腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼ばれ、消化、神経、免疫などの機能を果たす。

微生物叢は、各個人に固有のもので、この生態系に特定の要因が作用すると、健康な状態から、非感染性の慢性疾患の原因となる、「ディスバイオーシス(腸内菌共生バランス失調)」の状態に移行する恐れがある。

この優先研究プログラムのポイントは、マイクロバイオームとその宿主との関係をより詳細に把握しながら、微生物叢の変化とマイクロバイオームの進化において環境要因が果たす役割をよりよく理解することである。目的は、環境、マイクロバイオーム、健康の三者を通じた慢性疾患の新たな治療方法によって、健康を維持・回復するための対策を見いだすことである。

■持続可能な消費と食料システム

食の行動は人それぞれであり、時間の経過とともに変化するものである。個人レベルと社会レベルでの消費習慣の変化を決定する要因を探索することが、ここでの課題である。この変化に関する知識、特に公衆衛生や環境問題に関連する知識を増やすことである。農業生産モデルが進展し、消費習慣が変化することは、すべての人の健康とともに、エコロジカルな移行(新たな流通チャネル、地域の食料システムなど)に役立つ良質な生産方式の強化に良い結果をもたらす。しかし、経済的、教育的な理由などより、消費者個々人が食習慣を変化させることは、容易ではない。

したがって、この優先研究プログラムのポイントは、消費者レベルと構造レベルの両方で、公的、私的およびコミュニティの関与がこれらの変化をどのように奨励し、支援できるかを特定することである。本プログラムの目的は、以下の通り:

・食品、健康、環境の関連性の理解の増進
・慢性疾患の減少、予防法・治療法の開発
・食行動、栄養の不均衡、消費者に提供される情報、食品生産モデルの間の相互作用など、社会的・環境的知識の増進

[DW編集局]