[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO) 
元記事公開日:
2024/02/13
抄訳記事公開日:
2024/03/27

中堅企業による生成AIの活用

Wie der Mittelstand die Chancen Generativer KI erschließen kann

本文:

(2024年2月13日付、フラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO)の標記発表の概要は以下のとおり)

IAOの学際的研究チームは、バーデン・ヴュルテンベルク(BM)州経済労働観光省の助成を受けた研究プロジェクトの一環で、生成人工知能(AI)が職場に与える影響を調査した。この調査結果により、中堅企業が生成AIの可能性を引き出し、具体的な行動提言により、その導入と応用面で支援することが目的である。この研究プロジェクトは、科学、技術、実践の専門家48人を対象としたアンケートに基づいている。

2022年11月のChatGPTの登場は、生成AIの能力がいかに広範囲に及ぶかを明らかにした。これまでに使われていたAIモデルから、生成AIモデルへの発展は飛躍的なものであった。

■生成AIが企業にもたらす可能性
BM州経済労働観光大臣は、「この重要技術が持つ大きな可能性を活用するために、州内の企業に対して、AIのテストと適用に、的を絞ったサポートを提供したい」と述べた。

■AIに関する知識向上によるAIの受容性・活用の促進
チームは、長期的に実施すべき重要課題として、企業が生成AIのトピックに戦略的にアプローチし、定着させる必要があることを挙げている。生成AIの使用に当たっては、従業員に対し、短期的・長期的に変化する能力プロファイルに基づいて適切な資格を取得させる必要がある(人間中心のAI)。これにより、トレーニングを受けた従業員は、AIの革新的な適用対象をより迅速に特定し、優先順位を付けることができるようになる。特に反復的な課題に対して、より負荷軽減の効果が得られる。

■パートナーとのネットワーク化による独自性
チームは、まだ表示義務はないとしても、使用データ、モデルアーキテクチャ、テスト、評価結果に関する透明性を確保するために、AIを使って作成したコンテンツを自主的に表示することを推奨している。

■AI使用の社会的・環境的責任
チームによれば、AIの使用は企業にとって高いレベルの責任も伴う。大規模なAIモデルはかなりのエネルギー消費をするという生態学的な観点で、さらに企業、組織、社会の中で、生成AIの基本や利用データ、モデルの前提について、結果をあらかじめ決めずに話し合うことが必要である。

人間中心の生成AIの導入によって、ほぼすべての活動分野と産業が影響を受けるため、職場に大きな変化がもたらされる。AIの機会から利益を得て、長期的な経済価値創造の可能性を活用するためには、経営層、従業員、研究者、イノベーションエコシステム、政治、社会など、すべての関係者の行動と、テーマに対する確固とした理解が必要である。

[DW編集局]