[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2024/02/19
抄訳記事公開日:
2024/04/08

Batene社がマックスプランク・スタートアップ賞を受賞

Batene erhält den Max-Planck-Gründungspreis

本文:

(2024年2月19日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)

Batene GmbHの技術により、バッテリーは最大で従来よりも80%多くのエネルギーを蓄えることができる。MPG医学研究所によって設立されたこのスタートアップは、従来の薄い接触フォイルを、細い金属線の不織布である「バテネ・フリース(Batenefleece™)」に置き換えた。これによってバッテリーの性能が大幅に向上するだけではなく、製造の簡素化により製造コストが最大50%削減できた。バテネの技術により、電気自動車の航続距離を伸ばし、価格を下げることが可能となる。このイノベーションが評価され、Bateneは、3万ユーロの賞金と共に、マックスプランク・スタートアップ賞を受賞した。

バッテリーを設計する際、バッテリー・メーカーは、最高の蓄電容量と、車両の加速時やヘリコプターの離着陸時に要求されるような、最高の性能を常に両立させる必要がある。

MPG医学研究所の所長であり、Bateneの創設者でもあるヨアヒム・シュパーツ(Joachim Spatz)氏のチームは、金属フリースの製造方法を発見しただけではなく、フリースが電子とイオンの両方を、バッテリー電極を介して、現在の設計よりもはるかに速く輸送することを発見した。これにより従来の電池の10倍にあたる厚さ2mmの厚さで活性物質を塗布することが可能となった。

■有毒な溶媒を使用しない、より簡単なバッテリー製造

バッテリー・メーカーは、作業者の安全を確保し、電極を乾燥させ、溶媒を回収するために、多大な労力を費やしてきたが、金属フリースを使用した厚い電極は、フリースに活性物質を粉末として充填し、圧縮することで製造できるようになった。

シュパーツ所長は、「バテネ・フリースにより、あらゆるバッテリーが大幅にパワフルになり、費用対効果が高まると確信している。使用される化学物質を変えることなく、バッテリーセルの構造を大きく改善するものである。これにより、すでに不足している材料資源を大幅に節減できる」と述べた。現在のリチウムイオン電池だけでなく、科学界や産業界で集中的な研究の対象となっている将来のナトリウムイオン電池や全個体電池も、金属フリースの利点を利用できる。

MPGの会長であるパトリック・クラーマー(Patrick Cramer)氏は、「バテネの技術はバッテリー市場を大きく変革する可能性を秘めている。Bateneは基礎研究の成果を実用化す方法を示し、革新的な産業における雇用創出にも貢献している」と述べた。

[DW編集局]