（2024年2月27日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり）

欧州委員会は本日、グリーンおよびデジタルの移行に関連の深い重要技術である先端材料の分野で産業界のリーダーシップを強化するための包括的な戦略を提案した。　「先端材料におけるリーダーシップ強化に関する通達（Communication on Advanced Materials for Industrial Leadership）」は、EUにおける研究・イノベーションの優先課題と投資を整合させ、この重要技術における欧州のリーダーシップを確保するものである。加盟国と産業界が熱望していたこの取り組みは、先端材料に対する欧州共通のアプローチの第一歩であり、さらなる施策への基礎を築くものである。

先端材料については、再生可能エネルギー、電池、ゼロエミッション建築物、半導体、医薬品・医療機器、人工衛星、スペースローンチャー（space launcher）、航空機、その他のデュアルユースアプリケーションや防衛装備品などの分野で、今後数年間で大幅に需要が増加すると予想されている。

同戦略は、開発、試験、開発を支援することにより、EUが先端材料技術の最前線に立ち、長期的な競争力を強化することを目的としている。また、重要材料の代替やリサイクル・再利用を支援することにより、重要材料への依存を軽減し、EUの開かれた戦略的自律性と経済安全保障を強化するものである。

通達は、EU加盟国、産業界、その他の関係者と連携して実施する、以下の5つの柱に沿った施策を提案している。

1. 先端材料に関する欧州の研究・イノベーション・エコシステムの強化
2. 革新的な材料の迅速な市場投入。先端材料の研究・イノベーションのための欧州デジタル・インフラである「材料コモンズ（materials commons）」の展開を含む（AIも活用した制御された環境での新たな先端材料の設計、開発、テストが大幅に加速）
3. 資本投資と資金調達の増強: 施策の一環として、Horizon Europeの下で産業界との新たなパートナーシップを構築し、2025年から2027年にかけて、少なくとも2億5,000万ユーロの民間資金を含む5億ユーロの投資を目指す
4. 先端材料の生産・利用の促進: イノベーションのための調達、標準設定、および欧州の労働力が必要なスキルを身につけるための欧州イノベーション工科大学院（EIT）との「先端材料アカデミー（Advanced Materials Academy）」の立ち上げを含む
5. 加盟国、Horizon Europe参加国、および当該の産業界に助言を与える「先端材料技術会議（Technology Council for advanced materials）」の設立

[DW編集局]