[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2024/02/29
抄訳記事公開日:
2024/04/19

国際科学技術協力に関する連邦議会への報告書

Biennial Report to Congress on International Science & Technology Cooperation

本文:

(2024年2月29日付、国家科学技術会議(National Science and Technology Council:NSTC)の標記発表の概要は以下のとおり)

NSTCは本日、連邦議会に対して「国際科学技術協力に関する隔年報告書(2024 NSTC ISTC報告書)」を提出した。報告書の前半では、米国の国益にとって国際的科学技術協力の重要性が高まる理由となっている、最近の国際状況について概説している。これには、2年間にわたるロシアのウクライナに対する戦争がウクライナの科学技術活動や国際的な科学技術活動に与えた影響や、世界的に注目されている3つの重要・新興技術(CETs)に関する記述が含まれる。また、科学の規範や基準に関する世界的な議論において、米国のリーダーシップが果たす役割がますます重要になっていることや、科学技術協力におけるベストプラクティス実践の重要性についても強調している。

報告書後半では、米国の科学技術が経済および国家安全保障の目標を確実に達成させるために、各省庁が2022年のNSTC ISTC報告書の勧告の進捗状況について説明している。2022年報告書が発表されて以来、各省庁はこれらの提言の約半分について確実に前進してきたが、複雑化し競争が激化する世界においては、すべての提言が依然として重要であり、16の勧告すべてについてさらなる前進を遂げるには、さらなる時間、議会の支援、そして各省庁の持続的な行動が必要である。2022年報告書で発表された16の提言は以下の通りである。

①中低所得国(LMICs)の学生に米国の科学技術活動への参加を支援する枠組みを検討する。
②STEM(科学、技術、工学、数学)人材が離米する理由を探るため、イノベーション・パイプライン全体の調査を含め、研究を行う。
③大使館科学フェロー制度(Embassy Science Fellowships)などの交流プログラム、および国際的な科学技術分野における政府機関間の長期的な交流の機会を拡大する。様々な専門家レベルにおいて省庁横断的な統合を実現するとともに、DEIA(多様性、公平性、包括性、アクセシビリティ)の原則をさらに推進する。
④国際協力の障壁を取り除き、緊密なパートナーとの協力の機会を増やすために、米国と他国の技術機関の間の交流を模索する。
⑤米国のグローバルな科学技術リーダーシップを可能とするため、米国の研究・イノベーション環境を強化する。これには、多国間フォーラム活動、LMICsからの参加の増加、民間部門の研究開発人材とSTEM専門家の米国定着促進策などが含まれる。
⑥中国の5ヵ年計画や欧州連合(EU)の7カ年財政枠組みなどの他国の長期的研究資金支援策に対抗するため、国際共同研究への資金提供に関する柔軟で長期的な方策を検討する。
⑦国務省(DOS)内に、海外パートナーとの共同科学技術開発、研究、イノベーションを支援する柔軟なメカニズムを検討する。
⑧STEM能力が不足している国際パートナーへの支援メカニズムを検討する。
⑨連邦政府の専門家が、国際的な科学技術活動の慣行や米国政府内のネットワークを知ることができるよう、科学技術関連省庁の海外事務所間での情報交換の機会を拡大する。
⑩民間外交、メディア・アウトリーチ、および個人間の持続的な関わりを通じて、既存の国際的な科学技術協力の取組みを拡大することを奨励する。
⑪歴史的黒人系大学(HBCUs)、マイノリティ支援機関(MSIs)、競争研究を刺激する確立されたプログラム(EPSCoR:Established Program to Stimulate Competitive Research)管轄下の機関との交流訪問プログラムや、国際的なパートナーとの関係を深めたい教育機関を支援するあらゆる教育レベルでの研修・開発プログラムに対し、支援メカニズムを検討する。
⑫STEMおよび非STEM分野において、HBCU、MSIs、EPSCoR管轄下の機関の研究者の国際的な科学技術共同研究への参画状況を調査する。
⑬既存の職能体系を見直し、科学技術外交を支援する技術専門家の採用を可能にする新たな職能区分を検討し、熟練した専門人材を採用する政府の能力を強化する。
⑭連邦の科学者が、政府内外の科学知識を持たない意思決定者と効果的な意思疎通ができるよう、連邦の科学者の訓練メカニズムを検討する。
⑮国際的な基準設定機関やその他の関連作業部会に貢献する専門家へのインセンティブや研修機会の提供を検討する。
⑯現在の科学技術協定(STA)の妥当性や不足点を評価し、外国のパートナーとともに適切に対処する。また、米国によるデータや施設へのアクセス、科学交流、民間部門や学術機関からの訪問者のためのビザや入国管理の柔軟性を高めるためのメカニズムを検証する。

[DW編集局]