[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2024/03/15
抄訳記事公開日:
2024/05/07

時代の転換期における研究の安全保障

Forschungssicherheit in der Zeitwende

本文:

(2024年3月15日付、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)の標記発表の概要は以下のとおり)

BMBFは、ロシアのウクライナ侵攻以来、世界は激変期を迎えているが、変化は多極化、中国に代表される体制上の対立などそれ以前から始まっており、これらがあいまって科学、研究に重大な変化をもたらすという認識から、「研究セキュリティ」についてのポジションペーパーを公表した。

ポジションペーパーでは「研究セキュリティ」とは、経済的、戦略的、国内外の安全保障上のリスクをもたらす行為からドイツにおける研究を護る措置を意味している。このためBMBFは次の3つの目標を設定した。第1に、既存の措置、手段が転換期において十分な効力を発揮できるものであるかチェックすること、第2に、科学界においてリスクと脅威に対する認識を高めること、第3に、ドイツにおける非軍事研究(民間研究)と軍事研究の厳格な線引きを再考することである。

このためBMBFは科学界及び安全保障担当省の参加も得て、以下の8つの事項を検討するとしているが、その際、次の原則を踏まえるとしている。①国際協力の重要性、②科学における自由の維持、③科学における自己管理、④「可能な限りオープンに、必要に応じてクローズドに」というバランスの維持、⑤関連省庁全体によるアプローチ、⑥一国にとらわれない考え方、⑦学習の積み重ねが大事である。

検討することとした8つの事項は以下のとおりである。
1. 時代の転換期に当たり科学における自己管理の手段を省察し、必要に応じて改善する。
2. 「研究セキュリティ」についての共通的なガイドラインの作成(例:デュアルユース問題、外国人奨学生・研究者の扱い、安全保障・出入国管理部局との協力の在り方)
3. 「研究セキュリティ」についての情報基盤の改善(ワンストップ方式の導入など)
4. 機微技術の特定:連邦政府の特に関心を有する研究領域の特定
5. 情報収集活動に対する科学界(科学システム)の頑健性の向上
6. 外国からの資金に関する依存性にかかわる研究機関の透明性の確保
7. 非軍事・軍事研究の分離に関する妥当性の検討(政府の研究・イノベーション専門家委員会などから再考を求められている)
8. 非軍事研究と軍事研究の協力の強化

[DW編集局]