[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
科学技術会議(CST)
元記事公開日:
2024/03/14
抄訳記事公開日:
2024/05/09

英国と米国の科学技術に関する最高諮問会議による共同声明

Joint statement published by the United Kingdom’s Prime Minister and United States’ President’s top-level advisory councils on science and technology

本文:

(2024年3月14日付、英国科学技術会議の標記発表の概要は以下のとおり)

英国の科学技術会議(CST)と米国の科学技術諮問会議(PCAST)はこのほど、ワシントンD.C.で会合し、2023年6月の大西洋宣言で確認された事項を含む、科学技術に関する共通の関心事項について話し合いをもった。

両者が発表した共同声明から、その概要を以下に記す。

■ 科学技術協力の強化

両者は、グローバルな課題への対応における科学技術の役割と、英国と米国が人工知能(AI)などの新興技術を中心に協力を深める可能性に焦点を当てている。

■ 世界的な課題への対応と将来への備え

科学技術は、危険を特定、監視、管理するだけでなく、そのリスクを予測して軽減するためのツールを提供する。英国と米国は優れた科学技術能力を有しているが、現状に満足することはできない。グローバルな課題に対処するための政府のアプローチには、複雑で新たな世界的リスクを予測し、準備、対応、復興を強化することが含まれる必要がある。CSTとPCASTは、両国間および世界的なパートナーとの協力による科学的取り組みの強度と一貫性を高めることを奨励する。

世界的なリスクは相互に関連していることが多い。たとえば、生物多様性に影響を与えることがすでに知られている異常気象などの災害は、病気の発生やパンデミックの可能性を増幅させる可能性がある。したがって、CSTとPCASTは、経済学、社会科学・行動科学、物理科学・生物科学、工学などのさまざまな視点を統合して、どのようにリスクを軽減し、適切な対応を準備できるかを研究するために、グローバルな課題に対処するシステム・アプローチを採用することを推奨する。

我々の社会のレジリエンスは、危機に際しての個人、社会、組織の行動と、危機に先立って備えを構築することを目的とした取り組みに依存する。CSTとPCASTは、政策立案者に対し、危機対応で提供する情報として、緊急事態に対する社会科学および行動科学の原則を考慮し、それに伴うトレードオフと不公平な影響を考慮することを奨励する。

■ 人工知能に関するコラボレーションの強化

生成AIの最近の進歩は世界中の人々の想像力をかきたて、AI技術のより広範な能力に対する認識を高めている。各政府と民間セクターが安全・安心で、信頼できる方法でAIシステムを開発および展開する方法に取り組んでいる中、CSTとPCAST は、お互いの国が行っている国内の取り組みを認識しており、それらの取り組みが英国と米国それぞれのAIに関する国際的な取り組みへの支援と信頼をもたらしている。

AI は、グローバルな課題に対処し、生産性を向上させ、エネルギー、輸送、農業、水など社会が依存する主要なシステムを管理する機会を提供する。現在、AIの開発は主に民間セクターの投資によって推進されている。AIが弊害を最小限に抑えながら社会的利益を生み出す潜在力を確実に実現するには、AI研究に対する公共セクターの投資の適切な規模と焦点を慎重に検討する必要がある。

AIによって可能になる機会を活用できるかどうかは、正確で代表的なデータへのアクセスにかかっている。CSTとPCASTは、「技術とデータに関する包括的な対話」を通じた継続的なコラボレーションなどの(データへの安全かつ確実なアクセスを促進する)多国間協議や既存の英・米パートナーシップに勇気づけられている。

■ その他のテーマ

CSTとPCASTは、英・米二国間の科学技術関係にとって重要なその他のテーマを認識しており、相互に関心のある以下の領域を特定した。

・エネルギー安全保障と気候変動
・医療
・合成生物学
・科学技術に対する国民の信頼と関与

[DW編集局]