[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2024/03/27
抄訳記事公開日:
2024/05/21

科学有期雇用契約法の改革

Die Reform des Wissenschaftszeitvertragsgetzes

本文:

(2024年3月27日付、連邦教育研究省(BMBF)の標記発表の概要は以下のとおり)

連邦政府は3月27日、大学および研究機関において科学・芸術にかかわる研究者が定年制の研究者として活動できる有期雇用の最長期間を定めている科学有期雇用契約法(WissZeitVG)の改正案を閣議決定した。

2007年に成立した科学有期雇用契約法では、有期雇用期間は雇用先の大学、研究機関から給与を支給される場合の期間であり、外部の第三者機関から資金を獲得して自らの給与を捻出する場合は本法にいう有期雇用期間には算定されない。

同法が当該期間を、博士号取得前は最長6年間、取得後も6年間(医学関係は9年間)と定めていること、またこの期間内であっても短期雇用が繰り返し行われているという指摘などから、若手研究者を中心に問題提起が行われてきたこと。そのため、2021年に成立した現在の連邦連立政権は発足時に定めた連立協定において研究者の労働条件の改善を目指して法改正を提起していた。

改正案は、若手研究者の研究開始時における将来のキャリアパスの確実性、予測可能性、透明性を高めること、短期有期雇用を繰り返す事象の解消、ワークライフバランスの実現を目的としている。最大の特徴は最低契約期間の導入であり、博士号取得前は最低3年(ドイツでは博士課程の在学者は大学と契約を結び給与を得る被雇用者であり、日本と全く異なる制度であることに留意)、博士号取得後は最低2年の契約を結ぶこととされた。改正の目標は、博士号あるいは無期雇用ポストの獲得に集中できる環境を作ることにあるとしている。その根拠としては、2022年に行われた本法の評価において短期有期契約の増加の問題、またその前の2011年に行われた最初の評価において第三者資金の増加により、若手研究者が独立した研究者として成長していく活動に影響を及ぼしていることが取り上げられたことを踏まえたものである。

今回の改正法案の要点は次のとおりである。
1. 最低契約期間(博士号取得前の最初の契約の期間は最低3年、博士号取得後の同期間は最低2年)を導入した。目的は、落ち着いて博士号や無期雇用獲得に向け研究者自らの能力を高める時間を確保することにある。
2. 出産、育児、介護などの場合、一定の延長期間を設ける。
3. 博士号取得後の最大契約期間はこれまで6年であったが、これを4年プラス2年とする。無期限雇用ポストの獲得を4年後までに終えるように奨励することを目的とし、テニュアトラック方式の考え方を導入するなど2年の延長を行えるのは2年の契約終了時に無期限雇用のポストを確保できる場合に限るものとする。
4. 当該研究者が自らの給与の出る第三者資金を獲得して研究する場合は本法による有期雇用期間に参入する必要がない点に変化はないが、第三者資金の獲得が研究者の博士号取得、あるいは無期雇用研究者としての独立時期を遅らせる可能性があるので、第三者資金の獲得時期は、本法に規定する有期雇用期間を消化した時期となるように努める。

なお、本法の改正によって定年制ポストが増えるわけではないことに留意する必要がある。連邦政府は本法の改正により、若手研究者にとって自らの将来についての予測可能性が増すことを期待しており、無期雇用ポストの獲得については、連邦政府が州政府と協力して教育・研究への支出を拡大していること、またこれまで施策として講じている1,000人テニュアトラック教授プログラムなどの活用を促している。

[DW編集局]