（2024年4月5日付、欧州委員会（EC）の標記発表の概要は以下のとおり）

EUと米国はこのほど、ベルギーのルーヴェンで第6回米国・EU貿易技術評議会（TTC）を開催した。TTCは、欧米間の通商・技術問題に関して緊密に協力するための重要なフォーラムである。

今回の会合はロシアのウクライナに対する戦争など困難な地政学的状況の中で行われた。加えて、デジタル移行・グリーン移行の加速により、成長とイノベーションの機会が開かれるが、その一方で共同アプローチに向けて大西洋を越えた協力も必要となる。新興技術やデジタル環境における大西洋を越えたリーダーシップの推進、両者間の貿易と投資の促進、経済安全保障での協力、人権と価値観の擁護に向けた強いコミットメントが示された。

◼ 人工知能、量子、6G、半導体、標準化に関する大西洋を越えた協力

EUと米国は、人工知能（AI）に対するリスクベースのアプローチと、安全で信頼できるAI技術の支援に対する共通の取り組みを再確認した。両者は、世界的な課題の解決策発見に資するAIの可能性を確信している。このほど公開された「公共の利益に資するAI」に関して概要を述べた文書では、異常気象、エネルギー、緊急対応、復興の領域でEUと米国が協力するマイルストーンを特定している。

両者はまた、AIモデルの測定と評価のためのツール、方法論、ベンチマークの開発に関するEU AI事務局と米国安全研究所との新たな対話を行うことを発表した。2021年のTTC発足以来、EUと米国は市民と社会にAIの恩恵をもたらすために透明性とリスクの軽減に取り組んでおり、信頼できるAIとリスク管理のための共同ロードマップの実施を継続している。

EUと米国は今回、6G技術におけるリーダーシップの道筋を定める共通の6Gビジョンを採択し、研究協力のための行政協定に署名した。これは、2023年5月に採択された6Gの展望と、2023年12月の6Gに関する産業ロードマップに基づく。

半導体の領域では、EUと米国は2つの行政協定を3年間延長する。この協定の下で、両者はサプライチェーンの混乱を早期に特定し、補助金の透明性を確保するために効果的な協力を行ってきた。両者はレガシー半導体の分野で協力することを約束し、AI能力の活用などにより、チップに含まれるペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物（PFAS）の代替物質を見つけるための研究で協力する。

EUと米国は、新興技術規格に関して、大西洋を越えた相互運用性とデジタルIDの国境を越えた使用例の特定を目的とした、デジタルIDマッピング・レポート（Digital Identity Mapping Report）を発表する。2023年、EUと米国は大型電気自動車の充電のためのメガワット充電システムに関する共通の国際規格を承認した。両者は、グリーン移行の実現に向け、引き続き標準化に取り組む。

デジタルスキルおよび人材の育成は、デジタル移行を成功させるための基盤をなす。2023年4月に1年間の任期で発足した”Talent for Growth”タスクフォースは、革新的なスキル開発やEUと米国の技術セクターにおけるスキル不足に対処するための、実用的なソリューションに関する豊富な意見交換のプラットフォームとして機能してきた。

[DW編集局]