（2024年3月27日付、欧州委員会（EC）の標記発表の概要は以下のとおり）

欧州委員会はこのほど、「欧州学位」の創設を最終目標として、高等教育機関の間の国境を越えた協力を推進するための3つの取り組みを提示した。自主的な欧州学位の取得は、EU内での学習モビリティを高め、学生の横断的なスキルを向上させることにより、学生と高等教育コミュニティに利益をもたらす。それは労働市場の需要に応え、卒業生が将来の雇用主にとってより魅力的なものになると同時に、世界中から学生を引き寄せて欧州の競争力を高めるのに役立つ。

今回の3つの取り組みは、提携大学が学士、修士、博士レベルで競争力のある共同学位プログラムを設定する際の法的および行政上の障壁に対処するものである。この提案は大学の機関としての自治と学問の自由を基盤としており、高等教育領域における加盟国および地方政府の能力を全面的に尊重する。

■ 欧州学位の青写真

今回発表された欧州学位取得の青写真は、欧州レベルで合意された共通の基準に基づいて、国、地域、機関レベルで自主的に実施される新しいタイプの共同プログラムへの道を開くものである。

今回の発表では、EU全域で自動的に承認される欧州学位の創設に向けた、EU加盟国と高等教育セクターとの間の具体的な協力の道筋が提案されている。欧州全域にわたる欧州の高等教育制度の多様性を考慮して、欧州委員会は加盟国に対し、欧州学位に向けた段階的なアプローチを提案しており、以下の2つの入り口が考えられている。

・準備段階としての欧州ラベル
欧州学位ラベルは強力な欧州ブランドとなる。これは、提案されている欧州基準を満たす共同学位プログラムに与えられる。学生は共同学位とともに欧州学位ラベル証明書を受け取る。

・欧州学位
この新しいタイプの資格は共通の基準に基づくもので、各国内法に組み込まれることになる。この学位は、様々な国の複数の大学によって共同で授与されるか、場合によっては、そのような大学によって設立された欧州法人によって授与されることになる。

■ より簡素でより優れた資質保証と学位の自動認定

高等教育における欧州の資質保証・認定システムに関する理事会勧告を受けた欧州委員会の提案は、加盟国および高等教育機関に対し、資質保証のプロセスや慣行を簡素化し、改善するよう求めている。これらは説明責任と信頼、そして大学の業績向上に必要な条件である。加盟国は、高等教育機関が提供されるプログラムをより迅速に社会のニーズに適応できるようにするための措置を講じるよう求められている。

■ 教職員の多様な役割を平等に尊重する

高等教育における魅力的で持続可能なキャリアに関する理事会勧告案は、国境を越えた教育活動や革新的な教育方法に携わる職員に、それにふさわしい評価と報酬を与えることを目的としている。持続可能な発展の主流化への教育や投資など、研究に加えて職員が担う多様な役割に対する不均一な認識に、国の高等教育制度が確実に対処するよう勧告している。また、加盟国が国境を越えた教育活動を促進することも奨励している。

[DW編集局]