[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
農業・食料主権省
元記事公開日:
2024/05/29
抄訳記事公開日:
2024/06/12

農業安保法案、下院で可決 7月以降上院で審議へ

Projet de loi d'orientation pour la souveraineté en matière agricole et le renouvellement des générations en agriculture : adoption en 1ère lecture à l’Assemblée nationale

本文:

 農業や食料の安全保障を目指す「農業安全保障および農業世代交代促進法」の政府案が5月28日、議会下院(国民議会)で可決された。同法はいわば農政の憲法にあたり、フランスが農業や食料の安全保障を強化する指針となる。7月以降、上院(元老院)で審議にかけられる見込み。

 法案には「具体的な目標」として、▽「農場数を2035年に40万か所とすること」▽「農業、農産物加工、獣医、農業技師の職業訓練を受ける人数を増やすこと」▽「地方の家族経営の農家で経験を積んで知見を重ねていくことを奨励するとともに、そうした機会を増やしていくこと」――が示されている。

 そのうえで「現状認識」として、次のような点が明記されている。

  • 農業収入と労働条件の改善を、政策の基本に据える。
  • 政策の各段階における戦略的な特徴を正しく踏まえる。ニーズを踏まえながら、一貫した離農対策を打つことが特に重要である。
  • バイオロジカル・ファーミング(生態調和型農業:BLOF)を発展させ、2030年までに耕地面積の21%に引き上げるとともに、マメ科植物の10%をBLOFにすることを目指す。
  • 本土から離れた海外県・海外領における農業の特色に配慮する。

 フランスの農業や食料の安全保障をめぐっては、所管する農業・食料主権省が4月にレポートを発行。「安全保障はできているが懸念すべき弱点がある」「結局は経済力のレジリエンスや農業生産などに左右される」「気候変動により生産活動が圧迫されている」――などと自己評価しており、対策を急いでいた。

<DW編集局からおことわり>

 マクロン大統領による下院の解散(6月9日)を受け、上院は、下院総選挙が終わるまで全ての審議を停止することを決めました。農業安保法案の上院での審議日程については、下院での採択直後の5月29日に発表された参照元の政府資料には「6月24日から」と書かれていましたが、審議が下院総選挙(6月30日および7月7日)後にずれ込むのは確実な情勢になりましたので、この記事では「7月以降」と表記しています。(フランス担当フェロー・内田遼)

[DW編集局]