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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- マックスプランク協会(MPG)
- 元記事公開日:
- 2024/05/17
- 抄訳記事公開日:
- 2024/06/26
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欧州研究圏(ERA)の強化
- 本文:
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(2024年5月17日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)
マックスプランク協会のクラーマー会長(Dr. Patrick Cramer)はチェコの欧州連合加盟20周年の機会に同国を訪問し、MPGの進めるディオスクリ・プログラム(Dioscuri-Program)に基づき3つのセンターを新たに設けることを発表した。
マックスプランク協会の進めるディオスクリ・プログラムは東欧と西欧の研究格差の克服を目的とするもので2019年にポーランドでスタートした。同国には既に8か所のディオスクリ・センターが設けられている。隣国のチェコ共和国は5月1日、欧州連合加盟20周年を迎えた。この20年間、チェコの研究環境、ドイツとチェコの関係、欧州研究圏の状況は大きな変化を遂げてきた。この機会に5月17日、クラーマー会長が出席し、チェコとしては初めて、3か所のディオスクリ・センターの開所式が行われた。
このセンターの目的は、頭角を現しつつある若手研究者の飛躍と独立を支援しつつ、チェコの科学と欧州研究圏を全体として強化することである。センターの資金はチェコ共和国教育・青年・スポーツ省(MEYS)とドイツ連邦教育研究省(BMBF)が折半して負担する。3つのディオスクリ・センターはアカデミーや大学の中に設けられる。
今回、これらのディオスクリ・センターで研究グループを率いる3名の科学者が紹介された。各グループは5年間にわたり最大、毎年30万ユーロの資金を獲得するとともにドイツからの科学上の支援を受けることができる。
ディオスクリ・プログラムには30人の応募があったが、57%がチェコの生まれではなく、30%がチェコとの縁がなかった。このことは、このプログラムがマックスプランク協会の進める魅力的なものであるというだけではなく、チェコが研究拠点として認められるようになったということである。これはチェコが2007年から2014年まで欧州連合(EU)の構造改革資金を活用して全土にわたり最新の研究施設を設けてきたことが功を奏したものといえる。
クラーマー会長は、「この数十年間、欧州の科学は、欧州連合の推進する加盟国間の人材移動の推進により大きな利益を受けてきた。欧州研究圏という考え方が国境を越えた協力を推進する可能性を広めた。欧州全体として科学を振興するためには欧州を越えて強力な協力が必要である。」と結んだ。
[DW編集局]